Carl Zeiss Jena Flektogon 35mm F2.8 修理記録

Carl Zeiss Jena Flektogon 35mm F2.8

修理ご依頼者様から、時々該当レンズの特徴に関してお問い合わせ頂く機会があります。レンズ構造や整備に関する事でしたら、ある程度は解説する事はできると思うのですが、実写に関する事は、私が写真家ではないので、普段から懇意にしている写真家の方々に教えてもらう様にしています。以下、実写に際しての受け売りの解説になります。

モデル種類

この機種は、シルバー筐体=きょうたいの前期型、ゼブラ筐体の中期型、黒色筐体の後期型と三種類のモデルに渡って製造・販売が続けられていた経緯を持ちます。特に、1980年頃に生産されたモデルの黒色筐体後期型は、最短撮影距離0.2mで、オールドレンズとは思えぬ程の素晴らしい光学性能、マルチコーティングが施された事によって優れた逆光耐性を保持する逸品と言われています。

レンズそれ自体の大きさも、コンパクトで手に馴染みやすく、しかも軽量で持ち運びやすいのが人気の原因の一つで、長時間首や肩から吊るしたとしても、あまり負担にならないで、体力に自信がない人にとっても、行動範囲を気にする必要がなく、ちょっとした散歩や、計画した旅行など、軽快で活動的な場面にピッタリなレンズなのだそうです。

レンズ銘柄=人の名前と製造場所に由来するケース

レンズの様な光学機器の名称は、 人の名前と製造場所に由来するケースがよくあります。なので、Carl ZeissもCarl Zeiss Jenaも共に、Carl Zeissという光学機器メーカーが製造・販売したレンズに他なりません。Carl Zeissが創業者の人名で、Jenaは創業地名という意味合いになります。Carl Friedrich Zeiss=カール・フリードリッヒ・ツァイス氏が、ドイツのテューリンゲン州の都市イエーナ=Jenaで、顕微鏡の工房を創設した事が始まりとされ、それを企業体の名称としたのがCarl Zeiss Jenaになります。

歴史的背景

第二次世界大戦がドイツをはじめとする枢軸国側の敗戦という形で終結し、やがてベルリン同様、ドイツ国においても東西分断が始まります。当時に於いても世界最高水準の技術を誇っていたCarl Zeiss社は、ドイツという国家同様に西側のZeissと東側のZeissに分断される事となりました。西側諸国では西側のZeissがCarl Zeissを、東側のZeissがCarl Zeiss Jenaを名乗るという形で決着が図られる結果となりました。

architecture

1989年のベルリンの壁崩壊以降、ドイツは再統一の方向へ向かいます。Zeiss自体も統一への歩みを進めましたが、この時点でのCarl Zeiss Jenaは経営企業体としては実質的に崩壊していて、統一というより吸収といった形でCarl Zeissに合流し、企業体としてのCarl Zeiss Jenaの名称にはピリオドが打たれましたが、 Carl Zeiss社のレンズは、現代でも写真家の間で大切に愛用・所有され続けています。

レンズ検査ご依頼までの流れ(経緯)

今回のご依頼はメールにて受け付けましたので、その内容を簡潔にまとめました。

ご依頼者様からのメール

いつもお世話になります。しばらく使っていなかったレンズを取り出してみたところ、絞りが全く動きません。絞りのダイヤルは動くのですが、反応しない状態です。マウントアダプターに絞り羽の機能が付いているものがあるそうなので、そういうものと併用しようかとも考えましたが、やはり長年愛用してきたレンズですので、この機会に整備してもらいたくメールしました。レンズは、Carl Zeiss Jena Flektogon 35mm F2.8という、ゼブラデザインタイプの機種になります。宜しくお願い申し上げます。

今回お預かり致しました機種

Carl Zeiss Jena Flektogon 35mm F2.8 付属品
Carl Zeiss Jena Flektogon 35mm F2.8 付属品
機種名Carl Zeiss Jena Flektogon 35mm F2.8 付属品
シリアルNO9117430
付属品前後キャップ、フイルター
課題(所有者さん見解)絞り羽根が開放のまま絞りリングを回しても動きません。
ご希望予算20,000円(税込)以下

整備報告

フォーカス調整機構螺旋状部に塗られているグリスが、レンズ内壁及び関連駆動系部位を伝わって、汚れを巻き込みながら、絞り羽ユニット機構まで流れ落ちてきてしまっていたのが、主な固着の原因でした。又、お電話にてもお伝え致しましたが、絞り羽調整ダイヤル機構は、スプリングがベアリングを押し上げて、いくつかのプレート溝に収まるのですが、この部位がかなり摩耗しています。その影響で、そのクリック感にメリハリがありません。

この解決には、遜色のない同規格部位交換を要しますが、該当部位の入手が困難なので、この症状は修理の範疇では解決できません。絞り羽の駆動自体は、今回の処置で復元していますのでご安心下さい。尚、今後グリスが流れ落ちてくるのを回避する為にも、お電話にてお伝え致しました、保管時のレンズの向き等々、ご留意頂きます様お願い申し上げます。とても状態の良い個体です。今まで同様大切にご所有下さい。尚、整備工程にて撮影した写真、宜しければご参照下さい。

参考写真

整備ご依頼内容にはありませんでしたが、下記写真硝子内部に付着していたカビ除去しております。

Carl Zeiss Jena Flektogon 35mm F2.8 レンズユニット
Carl Zeiss Jena Flektogon 35mm F2.8 レンズユニット
Carl Zeiss Jena Flektogon 35mm F2.8 解放時
Carl Zeiss Jena Flektogon 35mm F2.8 解放時
Carl Zeiss Jena Flektogon 35mm F2.8 絞り時
Carl Zeiss Jena Flektogon 35mm F2.8 絞り時

納品に関しまして

※お願い・・・銀行お振込み頂きましたら、その旨メールにてお知らせ頂けますと幸いでございます。確認後速やかに納品させて頂きます。

発送方法クロネコ発払い便
送り状NO別途メールにて報告
配送状況お荷物追跡システム

ご決済に関しまして

整備費15,000円(税込)
クロネコさん送料北海道(一律)=1,370円(税込)
決済方法銀行振り込み
合計16,370円
お願いご決済後メールにてお知らせ下さい
お振込み先銀行

・みずほ銀行
・五香支店
・口座名義 一般社団法人 日本レンズ協会
・普通口座
・口座番号 1715154

山田 太郎の様にご記入下さい

以下に同機種整備関連記事ございますので、必要に応じてご閲覧下さい。
ご縁ございましたら、今後もお付き合い・ご指導宜しくお願い申し上げます。
(一社)日本レンズ協会 代表理事 田斉 健輔

kensuke tasai と申します。 光学機器の修理を主たる業務としております。 関連コンテンツも並行して配信させて頂いておりますので、リクエストございましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。