写真家の方から修理依頼を受ける際、光学的な付着物状態をわざわざ写真で撮影してメールで送信して頂くケースがあります。勿論、一般の方はレンズ鏡胴内部へのアクセスは難しいので、レンズを光源に翳しての全体的な写真になります。又、目視した状態を依頼者さんなりに分析して、こちらに報告してくれる方もいらっしゃいます。レンズの修理は手順として先ずは該当個体の現状を診断する事から始めますので、所有者さんの見解はとても役にたちます。只、正確な診断はレンズ鏡胴内部から必要な部位を取り出して、ひとつ一つ検査する必要があり、こちらでの診断結果が、依頼者さんの見立てと食い違うケースが多々あります。今回は所有者さんが撮影してくれたいくつかの写真を公開させて頂きます。
とてもわかり易い写真で、光学系付着物の現状の参考になりますが、三日月型の曲線の正体の特定は、やはりレンズ鏡胴内部に組み込まれている該当部位を単体で取り出してみないと正確には特定できません
レンズ検査ご依頼までの流れ（経緯）
今回のご依頼はメールにて受け付けましたので、その内容を簡潔にまとめました。
前玉に奇妙な半円の跡があります。半円の跡のことをご意見をいただき出来るだけレンズを修理して頂きたいと思います。チリホコリが少しあります。あくまでも素人レベルの判断ですが宜しくお願い致します。レンズはErnst Leitz Summitar 5cm F2という機種になりますが、長年愛用しておりまして、最近この症状が気になり始めたので、今の機会に修理してもらおうと思いました。他に不具合ありましたら全体的に修理をお願い致します。
| 機種名 | Ernst Leitz Summitar 5cm F2 付属品 |
| シリアルNO | 626057 |
| 付属品 | 前後キャップ |
| 課題（所有者さん見解） | 前玉に奇妙な半円の跡があります。半円の跡のことを ご意見をいただき出来るだけレンズを修理して頂きたいと思います。 |
修理報告
前玉表面外周の半月状の付着物は雲状カビの一種です。除去しました。他のレンズ表面の埃・カビも併せて除去処置施しましたので、レンズ全体としての光学的なクリアー度は復元しています。只、付着していた点カビが腐蝕カビで、除去後の無数の腐蝕痕が随所に残ります。レンズが綺麗になった分この様な症状が目立ちます。この点ご了承下さい。レンズは、無頓着でもいけませんが、反対にあまり神経質に偏っても良くありません。僭越ではございますが、この感覚のバランスにもご留意お願い致します。又、今回の整備工程にて撮影した光学系付着物及びレンズ鏡胴内部の写真もご参照下さい。
納品に関しまして
※お願い・・・銀行お振込み頂きましたら、その旨メールにてお知らせ頂けますと幸いでございます。確認後速やかに納品させて頂きます。
| 発送方法 | クロネコ着払い便 |
| 送り状NO | 別途メールにて報告 |
| 配送状況 | お荷物追跡システム |
ご決済に関しまして
| 整備費 | 12,000円（税込） |
| 決済方法 | 銀行振り込み |
| お願い | ご決済後メールにてお知らせ下さい |
お振込み先銀行
・みずほ銀行
・五香支店
・口座名義 一般社団法人 日本レンズ協会
・普通口座
・口座番号 1715154
納品後依頼者様からのお礼のメール
日本レンズ協会 田斉様
レンズ無事届きました。この度はありがとうございました。気になっていた奇妙な半円の跡もなくなり、埃も取れていてとても綺麗なレンズに蘇っておりまして満足しています。また、作業工程も写真つきで解りやすく、安心してお任せできて良かったです。今後、他に所有しているレンズもなるべく正確な診断が自宅でできる様にしていきたいと思っております。次の機会ありましたら是非お願い致します。
こちらこそ、ご縁ございましたら、今後もお付き合い・ご指導宜しくお願い申し上げます。
（一社）日本レンズ協会 代表理事 田斉 健輔
