Kern-Macro-Switar 50mm F1.9 AR 修理記録

今回お預かり致しましたKern-Macro-Switarという機種は、時々修理ご依頼を頂くレンズなのですが、製造本数自体が少なかったせいか、とても珍しい部類の機種に属します。開放F値＝1.8と1.9のの機種が存在し、それぞれに幾つかのモデルがあります。

類似機種修理記録台帳

Kern Sitar レンズ種類

機種名	レンズ構成	製造年	製造本数
Kern Switar 50mm F1.8	５群7枚	1951年代	1,526本
Kern Auto Switar 50mm F1.8	５群7枚	1955年代	5,285本
Kern Macro Switar 50mm F1.8	５群7枚	1958年代	10,329本
Kern Macro Switar 50mm F1.9	５群8枚	1968年代	6,303本
Kern Macro Switar Chinon 50mm F1.9	５群8枚	1982年代	83本

この表一覧を見るとわかると思うのですが、Kern-Macro-Switar 50mm F1.9 ARというモデルは、スイスのKERN社が、元々はフイルムカメラ＝ALPA用に供給したレンズになります。KERN社は、スイスのムービーカメラ用レンズ製造会社で、同じくスイスのムービーカメラのBOLEX用のレンズも製造していました。

スチールカメラ用のレンズは、ALPA社のみに供給したといわれています。結構人気のあった前モデルのKERN-MACRO-SWITAR 50mm f1.8 ARの後継レンズとして、1968年代にフイルムカメラ＝ALPA 10d用のレンズとして製造されました。

前モデルが、5群7枚のガウス型であったのに対して、5群8枚とレンズを1枚増やした変形タイプのガウス型が採用されています。アルパフイルムカメラボディ自体は、なかなか特殊なのですが、レンズはアダプターを用いれば現代では非常に多くのカメラで楽しむことができますので、このモデルの愛好家は多い様です。

レンズ検査ご依頼までの流れ（経緯）

今回のご依頼はメールにて受け付けましたので、その内容を簡潔にまとめました。

今回お預かり致しました機種

除去前カビの写真

整備報告

レンズ鏡胴内部に組み込まれていた全てのガラス部位表面に付着していた埃・カビ除去しました。レンズ全体としての光学的なクリアー度はかなり復元しています。付着していたカビの種類は主に点カビと菌糸状カビでした。スカッと抜ける様な眩しいレンズに復元しています。

只、点カビの一部が腐食カビで、除去後の腐食カビ痕が若干ですが残ります。又、レンズ表面に擦れ傷もございます。レンズが綺麗に復元した分この様な症状がクッキリ目立ちます。このような症状ご了承下さい。絞り羽ユニット機構及びフォーカス調整機構の動作・外観共に状態の良いレンズです。今後も大切にご所有下さい。

一番汚れていたレンズユニット

レンズ鏡胴内部

納品に関しまして

※お願い・・・銀行お振込み頂きましたら、その旨メールにてお知らせ頂けますと幸いでございます。確認後速やかに納品させて頂きます。

発送方法	クロネコ発払い便
送り状NO	別途メールにて報告
配送状況	お荷物追跡システム

ご決済に関しまして

整備費	40,000円（税込）
クロネコさん送料	東京都（一律）＝930円（税込）
決済方法	銀行振り込み
合計	40,930円
お願い	ご決済後メールにてお知らせ下さい

ご縁ございましたら、今後もお付き合い・ご指導宜しくお願い申し上げます。
（一社）日本レンズ協会 代表理事 田斉 健輔