Leitzの伝説的なレンズ・Summicron 50mm F2という機種は、1954年に販売されました。それから約4年後の1958年に、Leitz Canadaでもう一つの伝説的なレンズが生み出されました。6群8枚のレンズ構成から通称8枚玉と呼ばれるSummicron 35mm F2 ファーストモデルの登場です。当時の職人のこだわりを感じる一品だと、個人的には感じています。実写に際しての描写に関しては、写真の専門家ではないので言及できませんが、修理依頼件数が多いので、この機種の愛好家の方は沢山いらっしゃるのではないかと推測しています。
レンズ検査ご依頼までの流れ（経緯）
今回のご依頼はメールにて受け付けましたので、その内容を簡潔にまとめました。
メガネの曇りと解放の甘さが気になります。１つ絞ると良くなりますが解放からもう少ししゃきとしてほしいです。またレンズの汚れとカビも気になりますので、もしかしたらこの事が原因なのかもしれないと思っています。
Leitz Canada Summicron 35mm F2という機種になりますが、整備可能でしょうか？大丈夫な様でしたら送付しますので宜しくお願い申し上げます。
| 機種名 | Leitz Canada Summicron 35mm F2 |
| シリアルNO | 1853744 |
| 付属品 | 前後キャップ、フィルター |
| 課題（所有者さん見解） | メガネの曇りと解放の甘さが気になります。 |
修理報告
鏡胴内部全てのレンズ表面にカビ等付着物がありました。カビの種類は主に点カビと雲状カビでした。全て除去できていますので、レンズ全体としての光学的なクリアー度は復元しています。解放状態での映りに納得がいかなかった症状は、推測になりますがレンズ外周の雲状カビの影響が大きかったものと思われます。
解放状態になると、この外周雲状カビの影響が出る領域の範疇になります。只、こちらでは実写に際しての処置前後の比較報告ができません。この点ご了承下さい。付着していた点カビが腐蝕カビで、除去後の腐蝕痕が残ります。又、レンズが綺麗に復元した分、前玉表面とリヤ寄り中玉表面の擦れ傷が目立ちます。
又、メガネ部位の曇りに関してですが、お電話にてもお話致しましたが、レンズ同様付着物は除去しましたが、同時に合成レンズ張り合わせ面で流動性粘着物自体の劣化が若干ですが進行しています。これは付着物ではないので除去できません。この点もご了承お願い致します。外観共に状態の良いレンズです。今まで同様大切にご所有下さい。整備工程にて撮影しました数枚の写真も併せてご参照下さい。
参考写真
納品に関しまして
※お願い・・・銀行お振込み頂きましたら、その旨メールにてお知らせ頂けますと幸いでございます。確認後速やかに納品させて頂きます。
| 発送方法 | クロネコ着払い便 |
| 送り状NO | 別途メールにて報告 |
| 配送状況 | お荷物追跡システム |
ご決済に関しまして
| 整備費 | 18,000円（税込） |
| 決済方法 | 銀行振り込み |
| お願い | ご決済後メールにてお知らせ下さい |
お振込み先銀行
・みずほ銀行
・五香支店
・口座名義 一般社団法人 日本レンズ協会
・普通口座
・口座番号 1715154
依頼者様からのお礼のメール
納品後、依頼者様からお礼のメールを頂きました。とても励みになります。
田斉様、お世話になります。本日レンズ受け取りました。早速テストをしてみましたが、ズミクロンらしい解放のソフトの中にピンの芯が出てシャッキリしました。昔の名玉らしく収差がいい感じです。これから撮っていくのが楽しみです。ありがとうございました。また1本お願い致します。カビと曇りです。おそらく撮影してのハレは、そのせいと思われます。宜しくお願い申し上げます。
ご縁ございましたら、今後もお付き合い・ご指導宜しくお願い申し上げます。
（一社）日本レンズ協会 代表理事 田斉 健輔
