レンズ×2本 修理記録

今回は、違う種類のレンズ×2本を預かり、修理させて頂きます。Fujinon 55mm F2.2 という機種と、Minolta MD Rokkor 50mm F1.4 という機種で、どちらも単焦点・標準レンズになります。 修理ご依頼内容は、2本共にレンズを綺麗にしたいという趣旨でしたので、今回の処置は光学系付着物除去をメインとした処置内容になります。

Fujinon 55mm F2.2

懇意にしている写真家の方によると、この機種は、バブルぼけの撮影が楽しめるレンズだそうで、そういう撮影を好む写真家に人気がある機種だそうです。バブルぼけとは、玉ぼけ（丸いぼけ）の中でも輪郭がはっきりと見えるものを指しますが、背景がぼやけながらも、光源の明るい部分がふわっと玉状に映っている写真は幻想的な感じがします。

このレンズは、富士フィルムから1970年代に発売された単焦点レンズです。マウントの形状規格で、M42マウントの前期型と、フジカAXマウントの後期型の2種類に分類されます。現在の富士フィルムマウント形状規格は、Xマウントと呼ばれる形状のマウントが主流になります。今回お預かり致しました機種は、M42マウント規格の個体になります。

Minolta MD Rokkor 50mm F1.4 

定かではありませんが、私の拙い記憶によりますと、Minolta MD Rokkor 50mm F1.4 という機種は、Minolta XD カメラのキットレンズとして、当時販売されていた経緯があったと思います。人気もあり、流通量も結構多かったので、現在でも入手しやすく、この機種の愛好家の方は大勢いらっしゃる様な気がします。解放F値＝1.4 と明るいレンズですので、できれば定期的に整備して今後も大切に所有して頂きたいと思います。

レンズ検査ご依頼までの流れ（経緯）

今回のご依頼はメールにて受け付けましたので、その内容を簡潔にまとめました。

Fujinon 55mm F2.2

修理報告

光学系付着物に関しましては、埃・カビ共に除去しました。レンズ全体としての光学的なクリアー度は復元しています。一部の点カビと雲状カビが腐蝕カビで、除去後の腐蝕痕が残ります。中玉表面の雲状カビの腐蝕痕の影響で、この部位が薄く白濁して目視されます。対物側硝子玉表面の点カビの腐蝕痕はカビの形状のまま目視できます。レンズが綺麗になった分、この様な症状が目立ちますが、ご了承下さい。駆動系に関しましては、調整ダイヤル指標リングが緩んでいたので、締め付け直しました。このリングにあるべき部位が一部欠損していますので、この部位の処置は施せませんでした。絞り羽ユニット機構及びフォーカス調整機構共に現状問題はありません。未使用期間が長期化しない様に、今まで同様大切にご所有下さい。尚、今回の整備工程にて撮影したいくつかの写真もご参照下さい。

Minolta MD Rokkor 50mm F1.4

修理報告

レンズ鏡胴内部に組み込まれている、全ての硝子玉表面に付着していた埃・カビ除去処置施しました。レンズ全体としての光学的なクリアー度は復元しています。付着していた主なカビの種類は、点カビと菌糸状カビでした。その一部が腐蝕カビで、カビそのものは全て除去できておりますが、除去後の腐蝕痕が随所に残ります。この点、ご了承下さい。フイルターが傷んでおりますので、硝子玉保護目的でしたら構いませんが、実写の際は今回の整備を機に、交換なさることを推奨致します。駆動系に関しましては、フォーカス調整機構及び絞り羽ユニット機構特に問題はありません。外観共に状態が良い個体ですので、未使用期間が長期化かしない様、今まで同様大切にご所有下さい。尚、今回の整備工程にて撮影したいくつかの写真もご参照下さい。

納品に関しまして

※お願い・・・銀行お振込み頂きましたら、その旨メールにてお知らせ頂けますと幸いでございます。確認後速やかに納品させて頂きます。

発送方法	クロネコ発払い便
送り状NO	別途メールにて報告
配送状況	お荷物追跡システム

ご決済に関しまして

整備費	レンズ×2本＝12,000円（税込）
送料	800円（税込）
合計	12,800円
決済方法	銀行振り込み
お願い	ご決済後メールにてお知らせ下さい

ご縁ございましたら、今後もお付き合い・ご指導宜しくお願い申し上げます。
（一社）日本レンズ協会 代表理事 田斉 健輔