Mamiya KL 127mm F3.5 修理記録

今回お預かり致しました機種は、Mamiya RB67という中判フイルムカメラ用交換レンズの一種になります。Mamiya RB67というカメラは、電池・バッテリー等、電源を一切使っていない、完全機械式のアナログなフイルムカメラです。

昔、仕事用として愛用していたという写真家の方に指導を仰ぎながら、このカメラの各部名称とその役割に関して、コンテンツを作った想い出があります。カメラ本体に関して、その機能を学習したいという生徒さんの為に、私自身がこの機種に関して知識がなかったのがその経緯でした。私は写真家ではないので、実写に関してのうんちくは一切語れませんが、このカメラの取扱い方について、自分なりに結構詳しく調べてみました。

いくつもの解説動画も交えて、結構丁寧に作成しましたので、このカメラでこれから撮影してみたいと思っている方には、お役にたてる内容になっていると思います。参考までに一部解説動画UPしておきます。

このカメラは、元々はプロのカメラマンがスタジオで撮影することを考えて作られたそうで、フィルムで撮影する中判カメラという種類のカメラです。デジタルが主流となってしまった昨今では私たちの身近ではあまり見かけることは少ないと思います。

下記写真を見れば解ると思いますが、このカメラで撮影する際、ピントはカメラ側の蛇の目の様な機構を繰り出して操作します。なので、レンズ側には、フォーカス調整機構は組み込まれていません。レンズには、光学系硝子部位と、絞り羽ユニット機構とシャッター機構が組み込まれた構造になっています。

レンズもカメラも、造りそのものがとても丈夫にできていて、修理依頼内容の殆どが、カビ等光学系付着物除去依頼が殆どです。只、レンズ鏡胴内部に、一部合成レンズが組み込まれている機種が多く、合成レンズの貼り合わせ面に使用されていた、カナダバルサム自体が劣化して、白濁現象になってしまっている個体が散見されるという特徴があります。

この天然樹脂素材の流動性粘着物の劣化は、付着物ではないので除去できません。昔、二枚のレンズの膨張率と冷却率の違いを応用して、一枚づつに分離させて、貼り合わせ面のクリーニングをした時期もありましたが、再度貼り合わせすると、綺麗にはなっているのですが、光学系数値がずれている個体がある事が解ったので、今はこの処置は行なっていません。

今回お預かり致しましたレンズは、この合成レンズ貼り合わせ面は全く問題ありませんでしたが、この症状に関して過去に少し詳しく解説しておりますので、宜しければご参照下さい。

レンズ検査ご依頼までの流れ（経緯）

今回のご依頼はメールにて受け付けましたので、その内容を簡潔にまとめました。

今回お預かり致しました機種

整備報告

鏡胴内部に組み込まれている、全ての硝子部位表面に付着していた埃・カビ除去しました。レンズ全体としての光学的なクリアー度はかなり復元しています。カビの種類は主に、点カビと菌糸状カビでした。付着していた点カビの一部が腐食カビで、除去後の腐食痕が若干ですがに残ります。、中玉～後玉すべてにその痕跡が確認できます。この点ご了承下さい。

除去前付着物写真

お電話にてもお伝え致しましたが、合成レンズ貼り合わせ面は問題なく、とてもクリアーな状態ですので、ご安心下さい。この機種は構造的に無理がなく、とても丈夫なレンズですが、未試用期間が長期化しますと、カビの再発を招きます。光学機器のこの様な特徴ご留意して頂き、今後も大切にご所有下さい。

納品に関しまして

※お願い・・・銀行お振込み頂きましたら、その旨メールにてお知らせ頂けますと幸いでございます。確認後速やかに納品させて頂きます。

発送方法	クロネコ発払い便
送り状NO	別途メールにて報告
配送状況	お荷物追跡システム

ご決済に関しまして

整備費	13,000円（税込）
クロネコさん送料	千葉県（一律）＝930円（税込）
決済方法	銀行振り込み
合計	13,930円
お願い	ご決済後メールにてお知らせ下さい

ご縁ございましたら、今後もお付き合い・ご指導宜しくお願い申し上げます。
（一社）日本レンズ協会 代表理事 田斉 健輔