Tokyo Kogaku Auto-Topcor 58mm F1.4 修理報告

Tokyo Kogaku Auto-Topcor 58mm F1.4という機種に限った話ではありませんが、修理ご依頼者さんから質問を頂きましたので、今回はこの機種の話ではなくて、レンズの付着物に関して共通していえる現象に関して解説します。レンズの所有者さんがレンズ鏡胴内部を覗いた際、硝子玉表面に目視されるもの全てを総称して付着物と呼んでいます。新品時若しくは定期的に整備されたレンズであれば、この付着物はありません。レンズは撮影の為の道具ですから時間の経過と共に何だかの付着物が硝子玉表面に付着していきます。空気中に含まれる埃だったり、レンズ鏡胴内部で発生したカビであったり、その種類は様々です。そのレンズに厚みのある硝子玉が組み込まれている場合は、コバが剥がれて硝子玉に落下・付着するケースもあります。又、小さい昆虫が鏡胴内部に侵入後死骸となって付着している個体も散見されます。レンズは気密性は高い構造になっていますが、埃等の分子レベルでみると随所に隙間はあります。付着物が微量であればそんなに神経質になる必要はありませんが、カビの場合は早い段階で除去しておいた方がいいです。所有者さんの性格にもよりますが、あんまり神経質になるのも問題ですし、無頓着なのも所有中に何だかの支障が出てきます。レンズの状態によって個別にお問い合わせ頂けるのが最善と思います。

レンズ検査ご依頼までの流れ（経緯）

今回のご依頼はメールにて受け付けましたので、その内容を簡潔にまとめました。

初めてメールさせて頂きます。所有しているレンズですが、レンズ内の小さいゴミがあります。実際に撮影していて問題はない様な気がするのですが、一度気になると心配になって連絡しました。レンズはokyo Kogaku Auto-Topcor 58mm F1.4という機種になります。どこまで気にして、どこらかが問題視すればいいのかその見極めというか判断みたいなものがありましたら、今回の修理依頼と一緒に教えて下さい。お願い致します。

機種名	Tokyo Kogaku Auto-Topcor 58mm F1.4
シリアルNO	94100120
付属品	前後キャップ
課題（所有者さん見解）	所有しているレンズですが、レンズ内の小さいゴミがあります。

修理報告

鏡胴内部全てのレンズ表面に付着物がありました。カビの種類は主に点カビでした。除去処置施しましたのでレンズ全体としての光学的なクリアー度は復元しています。只、付着していた無数の点カビが腐蝕カビで、除去後の腐蝕痕が随所に残ります。又、レンズ表面に幾つもの点傷があります。レンズが綺麗に復元した分この様な症状が目立ちます。付着物と傷及び腐蝕痕は見分け難いという特徴がありますが、この点ご了承お願い致します。カビを除去した後に残る腐蝕痕は、カビの付着期間で残ったり残らなかったりします。又、硝子の素材にもよります。今後も、未試用期間が長期化しない様にご留意お願い致します。整備工程にていくつかの光学的な付着物写真とレンズ鏡胴内部写真をUPしておきますので併せてご参照下さい。

参考写真

納品に関しまして

※お願い・・・銀行お振込み頂きましたら、その旨メールにてお知らせ頂けますと幸いでございます。確認後速やかに納品させて頂きます。

ご決済に関しまして

ご縁ございましたら、今後もお付き合い・ご指導宜しくお願い申し上げます。
（一社）日本レンズ協会 代表理事 田斉 健輔