二眼レフ・フイルムカメラとは、一般的なフイルムカメラ=35mmとは違い、中判フイルムカメラの分類に入ります。中判フイルムカメラは、縦幅=60mmの中判カメラ専用フイルムを使います。二眼という名前の通り、レンズが上下に二つ付いていて、撮影する為のレンズと、ファインダーで被写体を確認する為のレンズが別々になっていて、各々役割が違います。
二眼レフカメラでは、上についているレンズ=ビューレンズを通った光束は、カメラの上部についているファインダー=正方形の擦りガラスに反映されます。その際、ファインダーへ向かう光束は、カメラ本体に内蔵された反射鏡を通過しますので、実際にファインダーに反映される像は、実際に目に映っている被写体と、左右が180度反転して反映される事になります。
一方、下についているレンズ=テイクレンズを通った光束は、カメラ本体の中に装着したフィルム本体に、直接映像として反映されます。このあたりの仕組みは、この機種を愛用されている写真家の方は、当たり前の様に熟知されて、撮影の現場で活躍されているのだと思います。
ビューレンズとテイクレンズ
ビューレンズとテイクレンズの構造上の違い
機構 | ビューレンズ =上のレンズ | テイクレンズ =下のレンズ |
硝子部位 | 簡易な硝子部位構造 | 精巧な硝子部位構造 |
フォーカス調整機構 | ナシ | ナシ |
絞り羽ユニット機構 | ナシ | あり |
シャッター機構 | ナシ | あり |
この表の様に、テイクレンズに、駆動系機構の二つが組み込まれていて、光学系系硝子部位も、テイクレンズの方が上質な素材でできた硝子部位が組み込まれています。組み込まれている硝子部位の数も違います。ビューレンズにはその役割上、光学系硝子部位のみが組み込まれています。
尚、このタイプのカメラは、二つのレンズが常に同じフラット面に設置されている必要があるので、ピントを合わせる際も、どちらかのレンズが、勝手に動いてしまうと、ピントが合わせられないので、カメラ側に二つのレンズを同時に繰り出す機構が装備されています。即ち、レンズにはフォーカス調整機構は組み込まれていない事になります。
絞り羽の調整とシャッターはテイクレンズ側で行ないます。なので、修理依頼の多くはこのテイクレンズ側に集中する事になります。勿論、ビューレンズにカビ等付着物が確認できた場合は、ファインダーへの視界に影響が出るケースがありますので、除去処置を施す場合もあります。
フィルムの種類
時々、フイルムに関するお問い合わせを頂きますので、この機会に、フイルムの種類に関して解説致します。大きく分類すると、35mmフイルムと60mmフイルムが市販されています。勿論、35mmフイルムは、35mmフイルムカメラ仕様です。一方、60mmフイルムは、今回の二眼レフフイルムカメラの様な、中判カメラ仕様の為のフイルムです。
時々、120mmフイルムが販売されていない・・・とのお問い合わせを頂きますが、そもそも120mmフイルムはありません。フイルムのパッケージに明記されている120・220という数値は、商品名であるケースが多いです。35mmフイルムのパッケージにも、同様に100等の数値が表記されていますが、これも、フイルムサイズではなくて、ISO感度の表記になっています。私は写真家ではないので、これ以上詳しくは解説できませんが、商品としてのパッケージ表記は少し解りづらいかもしれませんがご参照下さい。
二眼レンズの特徴
今回お預かり致しましたMamiyaのカメラ以外の機種は、交換レンズという概念がありません。取り外しができない構造になっています。そういう意味では、Mamiyaの二眼レフは、カメラ一台で焦点距離が違うレンズを使えるので、便利なのかもしれません。但し、焦点距離でいえば、二眼レフレンズには、望遠はありません。
例え、80mmの焦点距離のレンズでも、中判カメラですので、その範囲は35mm換算にすると、あくまでも標準レンズの部類に入ります。普段から懇意にしている写真家の方から、今まで解説してきた内容は、私自身も学習しながら、レンズの修理にあたっておりますが、二眼レフ・カメラの各部名称に関して、とても解りやすく解説されているサイトを見つけましたので、紹介させて頂き、二眼レフ・カメラに関する基本的な解説はこれで筆を置きます。
二眼レフ・カメラの各部名称
もっと詳しく学習されたい読者さんは、こちらのサイトがとても解りやすいと思います。
出典元サイト:二眼里程標
レンズ検査ご依頼までの流れ(経緯)
今回のご依頼はメールにて受け付けましたので、その内容を簡潔にまとめました。
田斉様、いつもお世話になります。
暫しぶりに使ってみたくなって、取り出してみたのですが、シャッター切れません。どうやらチャージがされない様な気がします。また、上下共にレンズにカビが生えている様で、見ていて気持ち悪いので、メールしました。急ぎませんので、何とかなる範囲で結構ですので、修理して下さい。お願い致します。
お預かりしております機種
機種名 | Mamiya Sekor 80mm F2.8 |
テイクレンズ | シリアルNO=919310 |
ビューレンズ | シリアルNO=919479 |
付属品 | 前後キャップ |
課題(所有者さん見解) | シャッターが切れません。カビも生えています。 |
修理報告
お電話にてもお伝え致しましたが、シャッター機構周りに付着していた油分を含む汚れ、除去処置施しました。文章でお伝えするのは、少し難しいので、動画を撮って解説致しましたので、お時間ございます時に、ご閲覧頂けますと幸いでございます。今回は、Vimeoの調子がイマイチで、久しぶりにYouTubeにてUPしてみました。
簡単に解説致しますと、シャッターチャージレバーをチャージ後、元の位置に戻す役割のスプリングが弱っていて、自力では戻りません。なので、シャッターレバーを倒しても、シャッターが切れません。最終的にシャッターを切る際は、お手数ですが、シャッターチャージレバーにて操作お願い致します。
光学系付着物に関しましては、埃・カビ等全て除去しましたので、スカッと抜ける様な眩しいレンズに蘇りました。未使用期間が再び長期化しますと、再発してしまいますので、仕舞い放しにならない様、ご協力お願い致します。整備工程にて撮影した写真も、下記UPしておきますのでご参照下さい。 光学系付着物処置前写真のデーターを紛失してしまいました。申し訳けございません。
参考写真
納品に関しまして
※お願い・・・銀行お振込み頂きましたら、その旨メールにてお知らせ頂けますと幸いでございます。確認後速やかに納品させて頂きます。
発送方法 | クロネコ発払い便 |
送り状NO | 別途メールにて報告 |
配送状況 | お荷物追跡システム |
ご決済に関しまして
整備費 | 12,000円(税込) |
クロネコさん送料 | 兵庫県(一律)=1,040円(税込) |
決済方法 | 銀行振り込み |
合計 | 13,040円 |
お願い | ご決済後メールにてお知らせ下さい |
お振込み先銀行
・みずほ銀行
・五香支店
・口座名義 一般社団法人 日本レンズ協会
・普通口座
・口座番号 1715154
ご縁ございましたら、今後もお付き合い・ご指導宜しくお願い申し上げます。
(一社)日本レンズ協会 代表理事 田斉 健輔