コバ剥がれとは何か?
オールドレンズに時々見られる現象の一つに「コバ剥がれ」があります。厚みのあるガラス玉の外周から光が逃げていく現象を防止する為に、ガラス玉の厚みのある外周に、粘度の高い和墨を塗るのですが、経年の影響で、その和墨が乾いてしまい、何かの拍子に一部がはがれて、時には剥がれた一部の部位が浮遊して、ガラス玉表面に落下してしまう現象が生まれます。そうなると、撮影には影響が出てくるので、その破片は除去する必要があります。
頂いたメール
初めてメールします。レンズの中玉に若干の曇りがあり、開放時影響が出ます。中玉の清掃は清掃料金はお幾らぐらいでしょうか?改めてレンズを確認した結果、中玉というよりも、後玉の内側に湿気の後のように見えます。前玉は綺麗です。レンズお送りしますので見積もりをお願いします。
お返事メール
○○様、お問い合わせありがとうございます。一般社団法人 日本レンズ協会 代表理事 田斉と申します。光学系付着物除去は可能と推測致しますが、処置後、どこまで課題が解決するかは、現段階では明言できません。
整備費用に関しましては、過去の修理記録台帳を紐解きますと、同機種にて15,000円位かかっております。
当協会で宜しければ、ご検討下さい。
頂いたメール
返信ありがとうございます。先程レンズ送付しました。明後日には到着すると藻いますので、宜しくお願い申し上げます。
お返事メール
レンズ発送の件承知致しました。到着致しましたらその旨メールにてご連絡致します。ご依頼品がこちらに到着順に順次開封・初見させて頂いております。順番になりまして、開封・初見後その検査結果をこちらからご連絡致します。
その内容は個別にメール若しくはお電話にてご報告させて頂いております。ご都合の良いお電話番号、時間帯等ございましたら予め教えておいて頂けますと幸いでございます。
☎047-386-5353(協会固定)
☎090-9829-0696(田斉携帯)
お電話の場合はどちらかの番号にて着信が入ると思います。その節は宜しくお願い致します。納期に関しましては概ね10日間くらいお時間を頂いております。
一般社団法人 日本レンズ協会 田斉
付属品 | 前後キャップ |
シリアルNO | 1041252 |
納期 | 5日間 |
整備費用 | 15,000円(税込) |
解説
検査致しました。お電話にてもお伝え致しましたが、鏡胴内部全てのレンズ表面に付着していたカビ除去処置施しました。光学的なクリアー度は復元しております。
只、付着していた一部のカビが腐蝕カビで、カビそのものは除去できていますが、除去後の腐蝕痕が残ります。又、レンズ表面に擦れ傷があります。レンズが綺麗に復元した分、この様な症状が目立ちます。
又、コバ剥がれが進行していますので、解放時、実写での影響は、このコバ剥がれも原因の一つと診断致します。今後、もしご縁ございましたら、ご自身で何か処置を施す前に、こちらにご一報お願い致します。適切な処置方法等お伝えさせて頂きます。
外観、駆動系共に状態の良い個体です。今まで同様大切にご所有下さい。お願い致します。
作業工程参考写真
処置後の所感
今回お預かりしましたレンズは、カビの付着期間が短期間だった為に、復元状態はまずまずの点数がつけられる状態と判断しています。やはり、気が付いた時になるべく早く処置するのが最善と再認識しました。
コバ剥がれに関しましては、実写してみた際に強度を教えて頂けますと、必要に応じて、再度こちらで調整します。完全に全てが剥がれているのではなくて、5分の1くらいのゾーンでの剥がれですので、この症状がどこまで実写に影響するのかは、やはり所有者さんの判断に頼るしかありません。
今回のこちらの処置で、納品段階では光学的な付着物はありませんので、処置前後の変化で先ずは実写してみて頂き、ご意見を頂けますと幸いでございます。