今回お預かり致しましたPentax機種に限らず、50mm F1.4モデルは、35mm一眼レフカメラ用標準レンズとして定番の機種になります。しかし、1950年代の一眼レフフイルムカメラ黎明期には、このタイプの機種はまだ存在していませんでした。理由は当時の技術では製造する事が、設計段階から難しいかったからです。一眼レフフイルムカメラは、構造的に撮影用交換レンズと撮像フィルムの間にミラーボックスがあります。
その為、レンズマウント部が跳ね上げミラーの動作に干渉しない様に、フランジバックを長く取る必要があり、焦点距離50mmでは、開放F値を明るくする事が技術的に困難でした。その為、この時代の一眼レフ用大口径標準レンズは焦点距離を55mm前後に伸ばして対応していました。
出典元=Tokina 用語集・・・flange back =英語では普通flange focal length とは、レンズ交換式のカメラにおいて、レンズマウントのマウント面から、フィルムもしくは撮像素子までの距離の事を意味する。ミラーレスカメラが人気の理由もここにあります。
1960年代に入ると、屈折率の高い新種ガラスの研究が進み、併せて設計技術も進歩していきました。そして、いよいよ一眼レフフイルムカメラ用交換レンズとして、50mm F1.4レンズの製品化が実現する事になります。世界で初めて市販された35mm一眼レフフイルムカメラ用50mm F1.4レンズは、1962年発売のNikon Nikkor-S Auto 50mm F1.4になります。
これに続いたのが、Pentax=当時の社名は旭光学工業で、1964年に発売されたSuper Takumar 50mm F1.4なのは有名な話です。尚、このレンズは1962年頃から市販されていたという一部情報がありますが、Pentaxさんの公式見解は1964年と謳われています。今回お預かり致しましたsmc PENTAX-FA 50mm F1.4という機種は、1991年に発売されていて、現在でも販売が続く超ロングセラー商品の一種になります。この様な背景を持つ機種ですので、当協会にも時々修理ご依頼のお問い合わせを頂きます。
修理ご依頼に至るまでの経緯
今回はメールにてお問い合わせ頂きましたので、内容を簡潔にまとめてみました。
ご依頼者様から頂いたメール
フイルム時代に気に入っていた標準レンズなのですが、しばらく使っていなかった間にカビの様な物がついてしまいました、状態はまだそんなに悪くはないと思うにですが、気がついた時に処置しておいた方がいいのかと思ってメールしました。AFレンズは修理できないと聞いた事がありますが、大丈夫でしょうか?もし、対応して頂ける様でしたら、是非お願い申し上げます。
今回お預かり致しました機種
機種名 | SMC Pentax-FA 50mm F1.4 |
シリアルNO | 5113535 |
付属品 | 前後キャップ、フイルター |
課題(所有者さん見解) | 光学系付着物除去 |
ご希望予算 | 特になし |
順番に検査
光学系付着物の状態を検査すると、対物側からのアクセスで、課題は解決すると判断致しましたので、その工程にて順番に検査していきました。
レンズ鏡胴内部
レンズ鏡胴内部はこの様な構造になっています。
全てのガラス部位表面に付着しているカビを除去します
全ての付着物除去できましたので、レンズ全体としての光学的なクリアー度は復元しております。
今回、光学系付着物除去処置を施した事により、レンズが綺麗に蘇りましたが、駆動系、外観ともにとても状態の良いレンズです。未使用期間が長期化しない様にご留意して頂きまして、今まで同様今後も大切にご所有下さい。
納品に関しまして
※お願い・・・銀行お振込み頂きましたら、その旨メールにてお知らせ頂けますと幸いでございます。確認後速やかに納品させて頂きます。
発送方法 | クロネコ発払い便 |
送り状NO | 別途メールにて報告 |
配送状況 | お荷物追跡システム |
ご決済に関しまして
整備費 | 13,000円(税込) |
クロネコさん送料 | 茨城県(一律)=930円(税込) |
決済方法 | 銀行振り込み |
合計 | 13,930円 |
お願い | ご決済後メールにてお知らせ下さい |
お振込み先銀行
・みずほ銀行
・五香支店
・口座名義 一般社団法人 日本レンズ協会
・普通口座
・口座番号 1715154
ご縁ございましたら、今後もお付き合い・ご指導宜しくお願い申し上げます。
(一社)日本レンズ協会 代表理事 田斉 健輔