Canon FD シリーズは実はあまり得意ではありません。
仕事に好き嫌いを言ってはいけないのですが、個人的にはCanon FD、FLタイプの機種の修理はあまり得意ではありません。その理由は、レンズ鏡胴内部に組み込まれているガラス玉を固定するリング部位が3点固定構造になっているからです。通常の構造はねじ込み式なのですが、Canon レンズのL39タイプ以外の機種はこの固定構造が多く、再組立の際に3本の木ねじの力加減に神経をすり減らすのが加齢と共に少し辛さを覚える様になってきました。この様な理由で、この機種とその仲間のレンズは、苦手意識があります。
頂いたメール
いつもお世話になります。田斉さんがCanon FDレンズはあまり積極的には預からない事は充分に承知の上ですが、是非このCanon FD 85mm F1.8望遠レンズのカビの除去をお願い致します。料金は高くても構いませんので・・・
お返事メール
○○様承知致しました。おっしゃる通りこの機種の整備は久々になります。○○様のご都合の宜しい時にこちらまで発送して下さい。
頂いたメール
本日ゆうパックさんで送りました。急ぎませんので、宜しくお願い致します。料金はいつもの様に代引きでお願いします。
お返事メール
○○様、レンズ無事届きました。ご安心下さい。検査後、具体的な処置が終わりましたらお電話致します。その節は宜しくお願い致します。田斉
付属品 | 前後キャップ |
シリアルNO | 53940 |
納期 | 7日間 |
整備費用 | 13,000円(税込) |
解説
全てのレンズに付着していましたカビ・埃・曇り除去致しました。光学的なクリアー度はかなり復元できたと感じます。全てのガラス玉にいろんな種類のカビが付着していました。中でも菌糸状カビの割合が多かったです。前玉・中玉・後ろ玉それぞれに若干ですが腐食カビの除去後の腐食カビ痕が残ります。この点ご了承下さい。フォーカス調整機構調整ダイヤルのトルクがやや軽めですが基準値以内と判断します。絞り羽根関連全く問題ありません。ご安心下さい。未試用期間が長期化しない様に、今まで同様大切にご所有下さい。
修理工程参考写真
整備後の所感
やはりこの機種のシリーズは神経を使います。今回お預かりした機種は、所有者さんが撮影倶楽部の友人から譲ってもらったレンズという事で、長年その友人が使っていなかったという経緯のレンズでした。何度も同じことを言っていますが、やはりレンズの様な光学機器は、未試用期間が長いと随所に支障をきたします。レンズを毎日使う人はいないと思いますが、一年以上放置してしまった場合、いくら整備を施しても、その復元状態はあまり芳しくない事が多いです。できれば時々手に取っていじってあげて欲しいと思います。