巷(ちまた)でバルサム切れ?という記事や会話を耳にする機会がありますが、今回の記事ではこのバルサムについて、当協会の技術サポートを受講している生徒さんが登校時持ち込んだレンズの白濁現象の原因について解説したいと思います。
修理の分野ではバルサム切れという表現はしませんが、二枚のガラス玉の貼り合わせ面に使われている天然樹脂素材流動性粘着物の事を指します。この粘着物自体がレンズの貼り合わせ面にて劣化して、目視すると白く白濁してしまう現象が散見されます。
同じ機種でも、経年に伴ってこの白濁症状が起きてしまう個体がある一方、全く問題なく存在する個体もあります。何故、ある個体が白濁症状が進行し、ある個体がこの症状が起きないでクリアーな状態を維持できるのかに関しては、今のところ科学的な裏付けはとれていませんが、天然樹脂素材流動性粘着物自体の成分と現在に至るまでの保管環境に由来するのではないかと診断しております。
生徒さんが持ち込んだレンズ
Yashica Yashinon-DX 135mm F2.8 という機種の整備手順を講義する為に生徒さんが登校時持ち込んだ機種で解説します。上記に解説しましたが、この機種が特別に必ずバルサム切れ症状になるという訳ではありません。
今回のケースは天然樹脂素材流動性粘着物自体の劣化がとてもわかり易く進行していたので、他の生徒さんと情報を共有するにはいい機会ですので写真と動画で情報を記録しておきます。
レンズ鏡胴内部を何だかの光源にかざして内部を目視すると白濁症状が確認できるのがバルサム切れ個体の大きな特徴になりますが、幾つもの個体を検査した経験がないと、この白濁がカビ等の付着物によるものなのか?合成レンズ貼り合わせ面にておきている現象なのか?の区別の識別はなかなか難しいです。
機種名 | Yashica Yashinon-DX 135mm F2.8 |
シリアルNO | 13813769 |
付属品 | 特にナシ |
課題(生徒さん見解) | レンズを覗くと白濁している |
アクセス解説補足動画
二枚のガラス玉の貼り合わせ面に使われている天然樹脂素材流動性粘着物自体の劣化によるレンズの白濁現象には直接関係ありませんが、折角の機会なので、Yashica Yashinon-DX 135mm F2.8という機種のレンズ鏡胴内部へのアクセス手順を動画にて解説し、他の生徒さんの学習の為にシェアーします。