ズミターとかズミタールとか呼ばれているこのErnst Leitz Wetzlar Summitar 5cm F2というレンズは、沈胴式ズミクロンの一つ前のモデルになります。Ernst Leitz Wetzlar Summitar 5cm F2という機種自体製造年代によって、コーティング加工が施されている硝子玉が組み込まれているタイプや、ノンコートタイプといくつかの構造に違いがあります。同じ様に絞り羽ユニット機構にも違いがあり、当時のメーカーがあれこれ工夫や改善を施した経緯を感じます。シリアルNOにより構造の違いが分かれていますが、どのシリアルNOだとどういった構図に属すのか?までは把握しておりません。いずれに致しましても、Summitarタイプの機種は修理がし易い構造になっています。
レンズ検査ご依頼までの流れ(経緯)
今回のご依頼はメールにて受け付けましたので、その内容を簡潔にまとめました。
くもり、ヘリコイド固着を改善して下さい。レンズはErnst Leitz Wetzlar Summitar 5cm F2という機種になります。撮影に影響が出る程レンズが白く曇っています。ヘリコイドは固くてカメラに付けると廻ってしまい扱いづらいです。できましたら15,000円位でお願いできれば助かります。その他調べて頂き問題があれば教えて下さい。お忙しいとは思いますが宜しくお願い申し上げます。
機種
機種名 | Ernst Leitz Wetzlar Summitar 5cm F2 |
シリアルNO | 934201 |
付属品 | フロントキャップ |
課題(所有者さん見解) | 白濁とフォーカス調整ダイヤルトルク |
修理報告
曇りの主な原因は、雲状カビと点カビでした。全て除去できていますが、付着していた雲状カビが腐蝕カビで、除去後の腐蝕痕がレンズ前面を覆った状態になっております。又、レンズ全体が白濁した状態では目視できなかったと推測致しますが、厚みのある中玉の外周×2か所にて【コバ剥がれ】が進行しています。レンズ全体としての光学的なクリアー度は復元していますが、この様な症状ご了承お願い致します。又、フォーカス調整機構の固着に関しましては、関連部位に付着していた油分を含む汚れ除去処置施しましたが、そのトルク感は上々とは言えません。関連螺旋状部位等に若干ですが歪みがあります。この点もご了承下さい。整備工程にていくつかの写真UPしておきますので併せてご参照下さい。
コバ剥がれとは?
コバ=端っこ・・・という意味で厚みのある硝子玉のレンズ外周の事を指します。人がかけるメガネを連想してもらえばわかり易いと思うのですが、昔のメガネは近眼ほど硝子玉に厚みがあって、まるで牛乳瓶の底の様な形をしていたと思います。そういう形状の硝子玉をレンズ鏡胴内部に組み込むと、その部位を光が通過する際に何割かの光がその端っこから逃げて行ってしまいます。なるべく光を直進させる為に、この端っこに和ぼくを摺ったものを塗りました。これを正確にはコバと呼んでいます。半世紀も経過するとこの和ぼくが乾燥して、何だかの震動で硝子玉から剥がれてしまいます。この現象をコバ剥がれと呼んでいます。
納品に関しまして
※お願い・・・銀行お振込み頂きましたら、その旨メールにてお知らせ頂けますと幸いでございます。確認後速やかに納品させて頂きます。
発送方法 | クロネコ着払い便 |
送り状NO | 別途メールにて記載 |
配送状況 | お荷物追跡システム |
ご決済に関しまして
整備費 | 12,000円(税込) |
決済方法 | 銀行振り込み |
お願い | ご決済後メールにてお知らせ下さい |
お振込み先銀行
・みずほ銀行
・五香支店
・口座名義 一般社団法人 日本レンズ協会
・普通口座
・口座番号 1715154
ご縁ございましたら、今後もお付き合い・ご指導宜しくお願い申し上げます。
(一社)日本レンズ協会 代表理事 田斉 健輔