今から半世紀以上も昔、かつてフィルムカメラで使われていた交換レンズは、スマートフォンで写真を撮るのが当たり前になった現代においても、カメラ好き、写真好きの人々からオールドレンズ=シンデレラレンズと呼ばれ親しまれて、この人気の傾向は少しづつ加速していっています。このオールドレンズはマウントアダプターと呼ばれる連結パーツを用いることで現行のデジタルカメラに装着することができますが、これまでに発売された膨大な数の交換レンズの中から、自分好みのレンズを見つけるのも、オールドレンズ遊びの楽しみの一つの様です。
中判レンズがポートレートレンズに!
今回お預かりしたMamiya-Sekor C 80mm F1.9というレンズは、もともと中判カメラ用の標準レンズです。1975年、6×4.5センチ判一眼レフのマミヤM645が登場したのですが、このマミヤ645シリーズ向けのレンズとして発売されました。中判カメラにとって80mmレンズは標準画角なのですが、これを35mm判カメラに付けると中望遠相当となるところが写真愛好家にとってポイントになるそうです。何が良いのかというと、中判の標準レンズは開放F2.8のものが多く、有名なハッセルブラッドのプラナーも、80mm F2.8という明るさです。その点、Mamiya-Sekor C 80mm F1.9というレンズは開放F1.9と一層明るく、これがあえて中望遠レンズとして使いたいポイントと言える所以だそうです。修理の世界からの所見としては、この機種は駆動系がとても丈夫で、修理依頼内容が殆ど光学系付着物除去依頼になります。なので、未試用期間が長期化しない様に管理すれば、今後もいつまでも撮影のお供として活躍してくれる筈です。
レンズ検査ご依頼までの流れ(経緯)
今回のご依頼はメールにて受け付けましたので、その内容を簡潔にまとめました。
大事にしておいたはずのレンズにカビが生えてしまいました。その他の機能は問題ないと思います。アダプターを使って撮影をしたいのですが、保湿庫に保管していたのにショックです。綺麗になりますでしょうか?あまり高額だと諦めますが、2万円位まででしたらお願い致します。また、今後カビが生えない様にする方法も教えて頂けますと嬉しいです。宜しくお願い申し上げます。
機種
機種名 | Mamiya-Sekor C 80mm F1.9 |
シリアルNO | 93321 |
付属品 | 特にナシ |
課題(所有者さん見解) | 大事にしておいたはずのレンズにカビが生えてしまいました |
修理報告
鏡胴内部全てのレンズ表面に付着していた埃・カビ除去致しました。カビの種類は主に点カビと雲状カビと菌糸状カビでした。レンズ全体としての光学的なクリアー度は復元しています。只、付着していたカビが腐蝕カビで、除去後の腐蝕痕が残ります。又、レンズが綺麗に復元した分レンズ表面の擦れ傷が目立ちます。この様な症状ご了承お願い致します。又、フォーカス調整機構螺旋状部に歪みがあり、そのトルク感にムラがありますが、この個体の規格内の重さと判断致します。外観共に大変状態の良い個体です。今まで同様大切にご所有下さい。当協会でも研究用のレンズを多数保有していますが、保湿庫なるものは使っていません。それでも頻繁に手に取っていじってあげる事でレンズ鏡胴内部に空気の循環が起きます。未試用期間が長期化する事が一番よくありません。この様な事を配慮頂きまして、今後もご所有の参考にして下さい。整備工程にていくつかの写真UPしておきますので併せてご参照下さい。又、この機種はカメラ接点側レンズユニットにカビが付着しやすい傾向を持ちます。この部位だけなら除去処置は比較的簡単ですので、その際はお問い合わせ下さい。ご家庭でできる簡易的な方法をお伝え致します。
参考写真
納品に関しまして
※お願い・・・銀行お振込み頂きましたら、その旨メールにてお知らせ頂けますと幸いでございます。確認後速やかに納品させて頂きます。
発送方法 | クロネコ着払い便 |
送り状NO | 別途メールにて記載 |
配送状況 | お荷物追跡システム |
ご決済に関しまして
整備費 | 15,000円(税込) |
決済方法 | 銀行振り込み |
お願い | ご決済後メールにてお知らせ下さい |
お振込み先銀行
・みずほ銀行
・五香支店
・口座名義 一般社団法人 日本レンズ協会
・普通口座
・口座番号 1715154
ご縁ございましたら、今後もお付き合い・ご指導宜しくお願い申し上げます。
(一社)日本レンズ協会 代表理事 田斉 健輔