レンズをご自宅で保管する際に留意して欲しい事柄
意外と知られていない事柄なのですが、ご所有のレンズをどの様に保管していますか?
保管に配慮なさっている写真愛好家の方の殆どが、保湿庫なる湿度を一定に保つ箱に保管していると思います。それはそれで正解なのですが、その際レンズの向きにも気を配って頂けるとより完璧な保管環境を作る事ができます。
二つの駆動系部位が組み込まれている
どういう事かと解説しますと、レンズ鏡胴内部の構造に関係があります。鏡胴内部には、光学系ガラス球が複数枚と絞り羽ユニット機構とフォーカス調整機構という二つの駆動系機構が組み込まれています。
絞り羽ユニット機構は、ドライ(乾いた)状態がベストで、もう一つのフォーカス調整機構はウエット(濡れた)状態がベストなのです。この相反した機構が鏡胴内部で隣接して組み込まれていますので、レンズの保管時の向きを考慮して欲しいというお話になります。
フォーカス調整機構螺旋状部には、その機種に適したグリス(油)が塗り込まれています。このグリスの効果で、適切なトルク感を醸し出し、同時に螺旋状部の金属の摩耗も防いでくれています。しかし、このグリスが劣化してくると、チョウ度=粘りっ気がなくなってきて、鏡胴内壁を伝わって、絞り羽ユニット機構に油分を含む汚れとして付着したしまうケースがあります。
そうなると、絞り羽フイルム本体が絞り羽ユニットBOXに収納された状態で固着してしまう事があります。絞り羽ユニットには、フイルムを解放方向に引っ張るスプリングが設置されているので、このスプリングの引く力よりも、固着する状態が強くなると、そのレンズは解放でしか使用できなくなってしまいます。
些細な気配りが貴方のレンズを守る
勿論、付着した油分を除去すれば、動作は復元しますが、この様な症状にならない為にも、保管時の向きを考慮して頂く必要があります。簡単に説明しますと、絞り羽ユニット機構がフォーカス調整螺旋状部機構よりも天(上)向きになる様に保管して下さい。この向きは機種によって違いますので、もしご自身がお持ちのレンズの適切な向きが解らない場合は、お気軽にお問い合わせ下さい。一見些細な知識ですが、保管時の向きを配慮する事で、所有なさっている複数のレンズの状態が自然にいつまでも良好な状態に維持する事ができますので、是非ご参照下さい。