SMC Pentax FA 28-70mm F2.8 AL 修理報告

SMC Pentax FA 28-70mm F2.8 ALというレンズは、私の記憶によりますと確か1995年前後に製造が開始されたZoomレンズですので、他のオールドレンズと比べると比較的新しく今でも人気がある機種の様です。只、パワーズームの様な電子基板系が駆動系に組み込まれているので、実写の際には相応の快適さはある様ですが、修理の分野からの見解は、便利な機能が組み込まれている分、故障する危惧も増しますので、こと電子基板系の不具合に関しましては遜色のない同規格部位の入手が困難な実情を考えますと、これから入手するには少し考慮する必要があると思います。パワーズームとは、ピント＝フォーカス調整ダイヤルだけでなく、ズームリング内部にもDCモーターが入っていて、リングを回すだけで、モーターでズーミングされる機能です。カビ等の光学系付着物はある程度除去できる構造になっていますので、未試用期間が長期化しない様にして、衝撃等も与えない様に大事にご所有下さい。

レンズ検査ご依頼までの流れ（経緯）

今回のご依頼はメールにて受け付けましたので、その内容を簡潔にまとめました。

カビ、ゴミの混入があるのですが、カビはそこそこ広がってしまっている状態です。SMC Pentax FA 28-70mm F2.8 ALというレンズは修理が難しいレンズだと聞いたのですが綺麗になりますでしょうか？完全ではなくても、これ以上カビが増えない様にしたいのでお願い致します。今のところAF機能も使えていて便利なので、できうる範囲で構いませんのでカビの除去をして下さい。

コーテイング加工

レンズ鏡胴内部には複数枚の硝子玉が組み込まれています。一枚一枚の硝子を光が通過する度に直進しないで逃げていく光があります。対物側から入射した光をなるべく多くカメラ素子に届ける為に、硝子に特殊なコーテイング加工を施しているレンズも多いです。この加工が施された部位は基本的には付着物の除去は避けた方が無難なのですが、所有者さんと事前に相談して、コーテイングを剥がしてしまわない様に留意して除去処置を施すケースもあります。

機種名	SMC Pentax FA 28-70mm F2.8
シリアルNO	3817794
付属品	前後キャップ
課題（所有者さん見解）	カビ、ゴミの混入があるのですが、カビはそこそこ広がってしまっている状態です。

修理報告

所有者様のご見解通り鏡胴内部全てのレンズ表面にカビ・埃の付着物があります。特に絞り羽ユニット機構からリヤ側の付着物は実写に影響をきたしますので、その部位の付着物は除去致しました。他のレンズ表面の付着物に関しましては、メーカーさんの意図で特殊コーティングが施されていて、その部位の付着物は除去できません。又、除去した点カビと菌糸状カビと雲状カビが腐食カビで、除去後の腐蝕痕が随所に残ります。この様な諸々の点ご了承お願い致します。全体的な仕上がりと致しましては、やや中途半端な仕上がりとなってしまいましたが、処置後のレンズ全体としての光学的なクリアー度及び鏡胴内部を通過する【光束】総量は増えています。今後電子基板系に支障が出た場合は、修理は難しいと思いますが、丁寧に扱って頂ければまだまだ活躍できると思いますので、マメに使って頂く様お願い致します。整備工程にていくつかの処置前のレンズ鏡胴内部硝子表面付着物写真をUPしておきますので併せてご参照下さい。