今回は、このレンズについて解説するのではなくて、修理をご依頼頂きました所有者様に先ずは謝罪させて頂きたいと思います。この機種は、絞り羽フイルム=薄い板に駆動を伝達する部位が二つ組み込まれています。絞り羽調整ダイヤルと、レンズマウントのカメラ接点ボタンです。この接点ボタンの先に絞り羽ユニットBOXを回転させる爪楊枝くらいの細さの金属部位が、プレートに対して直角に付いているのですが、その部位が、時々斜めに変形している個体があります。その変形とガタツキを修正しようとしたのですが、その作業工程にて、該当部位を壊してしまいました。この部位が正常な状態でないと、二つの伝達部位のどちらをいじっても、絞り羽フイルム=薄い板にその駆動が伝達されない状態になってしまい、絞り値がある位置で固定した状態になります。その旨、お電話にても報告・謝罪させて頂きましたが、この修理記録台帳にても、改めてお詫び申し上げます。申し訳けございませんでした。
レンズ検査ご依頼までの流れ(経緯)
今回のご依頼はメールにて受け付けましたので、その内容を簡潔にまとめました。
VOIGTLANDEr COLOR-ULTRON 1.8/50の距離リングが固く最後まで(無限遠まで)回りません。およそ2mのところぐらいまでしか回りません。いただいたレンズなのですが,なんとか普通に使えるようにしたいので,修理(オーバーホー)が可能か,費用はどれくらいか(予算は貴ホームページ記載の2.2万程度までならと思っています)よろしくお願いいたします。
機種名 | Voigtländer Color-Ultron 50mm F1.8 |
シリアルNO | 控えるのを忘れてしまいました |
付属品 | 前後キャップ |
課題(所有者さん見解) | 距離リングが固く最後まで(無限遠まで)回りません。 |
修理報告
フォーカス調整機構関連螺旋状部及び調整ダイヤル周りに付着していた汚れ除去しましたので、そのトルク感は処置前と比較すると、軽めに復元し、駆動域も無限遠から至近距離指標値まで回る様になりました。只、関連螺旋状部に歪みがあり、中央値付近から無限遠値に向かうほど、そのトルク感はきつくなります。この点ご了承お願い致します。冒頭でお詫び致しました、絞り羽ユニット機構の問題がありますので、フォーカス調整機構が少し改善はしたものの、本当に申し訳けございませんでした。
補足解説
復元しましたフォーカス調整ダイヤルの動き動画でも補足解説致します。
水の音が収録されて少しお聞きづらい点、ご了承下さい。実は、この動画収録段階で納品するつもりでしたが、どうしても絞り羽ユニットBOXを回転させる、プレートに対して直角に付いているはずの、爪楊枝くらいの細さの金属部位が、斜めに変形しているのが気になって、再度内部にアクセスし直し、結果として壊してしまいました。