幻の大口径レンズといわれるCanon EF 50mm F1.0 L Ultrasonicレンズは、一眼レフAFレンズとしては、世界一明るいとされ、その開放値F1.0は夜の様な光量の少ない環境下でもシャッター速度を稼ぐことができる希少な個体の一種です。
修理の世界からこの機種を考えると、修理依頼件数で判断すると、50mm F1.2Lという機種が一番多く、その次に50ｍｍ F1.4と続きます。今回お預かり致しました、Canon EF 50mm F1.0 L Ultrasonicという機種は、そんなに頻繁に修理のご依頼を頂く事はありません。
開放F値に注目して、その歴史を少し紐解くと、Canon社は、1961(昭和36)年にCanon7sカメラ用レンズとして、CANON 50mm F0.95という世界で最も解放F値としては明るい機種を販売しています。一方、Leica社はノクチルックス M50mm F0.95 ASPH.という機種を既に製造販売しています。Canon EF 50mm F1.0 L Ultrasonicという機種は、そこまでの明るさはないのでしょうが、現在も希少なレンズとして、写真家の中で大切に所有されている機種の仲間です。
レンズ検査ご依頼までの流れ（経緯）
今回のご依頼はメールにて受け付けましたので、その内容を簡潔にまとめました。
いつもお世話になります。久しぶりに以前使っていたレンズを取り出してみたところ、レンズがなんだか白く濁って見えます。撮影にはそんなに影響は感じられませんが、気になり始めると心配になってきました。Canon EF 50mm F1.0 L Ultrasonicという機種なのですが、このレンズも綺麗になるものでしょうか？もし取扱い対象機種でしたら、是非修理をお願い致したくメールにて相談致しました。何卒宜しくお願い申し上げます。
| 機種名 | Canon EF 50mm F1.0 L Ultrasonic |
| シリアルNO | 12460 |
| 付属品 | 前後キャップ |
| 課題（所有者さん見解） | レンズがなんだか白く濁って見えます。 |
修理報告
この白濁の原因は複数ありましたが、主な原因は写真が上手く撮れていませんが、鏡胴内部中玉レンズユニット（下記写真⑤）に付着していた無数の点カビでした。勿論、他のレンズ表面に付着していた埃、カビ等の付着物も白濁して見える原因になっていました。
全ての付着物除去できていますので、レンズ全体としての光学的なクリアー度は復元しています。只、付着していたカビが腐蝕カビで、除去後の腐蝕痕が随所に残ります。特に、リヤ側レンズユニット表面の点カビの腐蝕痕が目立つと思います。
一部埃を栄養分として付着したカビの腐蝕痕はその姿のまま目視できます。この様な、復元後の諸々の症状は、事前にお電話にてもお伝え致しましたが、レンズが全体として綺麗に復元した分、この様なこの個体本来の姿が露わになりますが、ご了承お願い致します。
このレンズも大変状態の良い個体ですので、未使用期間が長期化しない様に留意して頂き、今まで同様今後も大切にご所有下さい。お願い致します。尚、今回の整備工程にて撮影したいくつかの写真もご参照下さい。
参考写真
納品に関しまして
※お願い・・・銀行お振込み頂きましたら、その旨メールにてお知らせ頂けますと幸いでございます。確認後速やかに納品させて頂きます。
| 発送方法 | クロネコ着払い便 |
| 送り状NO | 別途メールにて報告 |
| 配送状況 | お荷物追跡システム |
ご決済に関しまして
| 整備費 | 45,000円（税込） |
| 決済方法 | 銀行振り込み |
| お願い | ご決済後メールにてお知らせ下さい |
お振込み先銀行
・みずほ銀行
・五香支店
・口座名義 一般社団法人 日本レンズ協会
・普通口座
・口座番号 1715154
ご縁ございましたら、今後もお付き合い・ご指導宜しくお願い申し上げます。
（一社）日本レンズ協会 代表理事 田斉 健輔
