CONTAXレンズのGシリーズは、オートフォーカス専用設計で、ボディのモーターからAFカプラーを通してレンズ側フォーカスを回す設計になっています。そして、マイクロフォーサーズのフランジバックの短さを利用して、AFカプラーのギアを手動でまわせるようにするマウントアダプターが販売されたのを機に、このGシリーズの実写シーンは広がりました。Gマウントのレンズは、オールドレンズと言っても製造後20年程度の比較的新しいレンズで、 T*の読み方はティースターで、特殊なコーティングがされていることを表しています。
AFカプラーのギア
マウントアダプター側
私は写真家ではないので、このアダプターの手動操作性に関しては言及できませんが、関連製造会社が様々な形状規格のアダプターを考案してくれているのは、写真家の方々にとって有り難いことなのではないかと感じております。修理の分野からこの機種を解説致しますと、AFレンズでありながらレンズ鏡胴内部へのアクセスが、設計段階で可能な造りにしてくれています。
今回のご依頼内容に、Contax G1カメラ以外の機種で撮影できるアダプターに関しても解説して欲しいという要望がありましたので、少し調べてみました。ピントはアダプターの調整リングで調整します。
AF機構なので、絞り羽ユニット機構へのグリス流れもなく、課題の殆どが光学系付着物になります。一つ問題なのが、レンズ鏡胴内部に組み込まれている合成レンズです。2枚のガラス部位の張り合わせ面にて起きる、接着剤自体の劣化が原因の白濁症状は、まだそんなに多くは報告されてはいませんが、今後少し気になる硝子部位ではあります。
Contax Planar T* G 45mm F2とBiogon 28mm F2.8 は、1994年~2005年までに販売されたContaxブランドのレンズ交換ができるフイルムカメラ用に発売されていたレンズなのですが、今でもContax G1を所有している愛好家の方は沢山いらっしゃいます。
AFレンジファインダー Contax G1フイルムカメラ
1994年に登場したCONTAX G1カメラは、一種独特な設計で知られています。それが、オートフォーカスレンジファインダーカメラというジャンルのカメラであるということです。AFレンジファインダーという種類のカメラは、コンタックスG1と、後継機のコンタックスG2の二機種をおいて他にありません。簡単に解説すると、いわゆるレンジファインダーカメラ=距離計連動カメラを完全に電子化=自動化したカメラという事になります。
Contax G1のコンセプトは、フォーカス・露出・巻き上げ・巻き戻しも、すべてが自動化されたレンジファインダーカメラというものでした。レンジファインダーカメラの操作感を、オートフォーカスのカメラモードで体験できる・・・Contax G1をはじめとするContax Gシリーズは、そんな独特な体験を味わうことが可能なカメラとして製造・販売されました。こんなカメラの交換用レンズとして製造された機種を今回はお預かりする事になりました。
修理ご依頼に至るまでの経緯
今回はメールにてお問い合わせ頂きましたので、内容を簡潔にまとめてみました。
ご依頼者様から頂いたメール
初めてメールします。Contax G1というカメラは持っていないのですが、Contax Gシリーズのレンズが欲しくて、ネットで購入しました。Carl Zeiss T* Biogon 28mm F2.8という機種です。購入した後に気づいたのですが、手持ちのアダプターではカメラに装着できません。又、レンズがカビだらけなので、綺麗にして欲しくてメールしました。お電話によるお返事ですと、アダプターは規格に合ったものを入手すれば解決できそうとの事でしたので、もう少し詳しく教えて下さい。レンズのカビに関しましては、修理の範疇で出来うる範囲で結構でございます。何卒宜しくお願い申し上げます。
今回お預かり致しました機種
機種名 | Carl Zeiss G T* Biogon 28mm F2.8 |
シリアルNO | 7631214 |
付属品 | 前後キャップ |
課題(所有者さん見解) | レンズを綺麗に |
ご希望予算 | 20,000円くらい |
整備報告
規格の合ったアダプターに関する解説は、上記文章及び写真をご参照下さい。購入前サポートセンター等ある会社でしたら、カメラ撮像素子までの距離等、細かい事は電話にて相談してみて下さい。光学系付着物に関しましては、レンズ鏡胴内部全ての硝子部位表面に付着していた埃・カビ全て除去致しましたので、レンズ全体としての光学系クリアー度は復元しております。カビの種類は主に点カビでした。除去後の腐食痕も残らないで、スカッと抜ける様な眩しいレンズに蘇りました。
一般的なオールドレンズと比べますと、製造から比較的にまだ新しい部類の機種になりますので、あまり気にする必要はないと判断しますが、レンズ鏡胴内部の合成レンズが、未使用期間が長期化するに従い、もしかしたら張り合わせ面にて白濁症状が起きてしまうかもしれませんので、なるべく豆に使って頂く事をお勧め致します。外観・駆動系共にとても状態の良いレンズです。これからも大切にご所有下さい。
納品に関しまして
※お願い・・・銀行お振込み頂きましたら、その旨メールにてお知らせ頂けますと幸いでございます。確認後速やかに納品させて頂きます。
発送方法 | クロネコ発払い便 |
送り状NO | 別途メールにて報告 |
配送状況 | お荷物追跡システム |
ご決済に関しまして
整備費 | 20,000円(税込) |
クロネコさん送料 | 埼玉県(一律)=930円(税込) |
決済方法 | 銀行振り込み |
合計 | 20,930円 |
お願い | ご決済後メールにてお知らせ下さい |
お振込み先銀行
・みずほ銀行
・五香支店
・口座名義 一般社団法人 日本レンズ協会
・普通口座
・口座番号 1715154
ご縁ございましたら、今後もお付き合い・ご指導宜しくお願い申し上げます。
(一社)日本レンズ協会 代表理事 田斉 健輔