Carl Zeiss Jena DDR MC Flektogon 35mm F2.4 修理記録

Jena＝イエナ社は、第二次世界大戦後にドイツが東西に分裂した際、創業の地イエナに残った技術者と施設を使って、半官半民の人民公社として出発した東ドイツの企業になります。レンズに表記されているDDRは、東ドイツ＝ドイツ民主共和国を表します。カールツァイスの技術が全てソ連に渡ることを恐れたアメリカによって、一足先に一部の技術者と設計図が西側に運ばれたという歴史を持つレンズになります。

ちなみに、Flektogon＝フレクトゴンとは、Carl Zeiss Jena社が製造販売した著名レンズブランドの一つになります。中でも、今回整備致しました35mmという機種は、当時の生産数も比較的多く、入手しやすいモデルでありながら、名玉との呼び声も高いオールドレンズの一種です。

レンズ検査ご依頼までの流れ（経緯）

今回のご依頼はメールにて受け付けましたので、その内容を簡潔にまとめました。

CONTAX Carl Zeiss Sonnar 2.8/135（先日カビ等付着物除去をしていただいたのとは別のレンズです）。絞りリングを回しても絞られません。絞り羽根が本来の開放よりも微妙に（０.２段くらいの感じ）閉じた状態のため、内部で破損しているのではないかと思っています。なお、このレンズも譲ってもらったものなのですが、前所有者もよく覚えていない（そもそも絞りがおかしいという自覚がなかった）ため、絞りがおかしくなった経緯はわかりません。固着した状態で無理に回したのではないかと予想しています。

こちらからのお返事

油染みの様な症状が何だかの光学系付着物であれば除去は可能と推測致します。絞りリングのガタつきに関しましては実際に個体を初見してみないとメールのお返事段階では何とも明言ができません。絞り羽が絞れないという症状に関しましても実際に個体を初見してみないとメールのお返事段階では何とも明言ができません。ご了承お願い申し上げます。整備費用に関しましては過去の修理記録台帳を紐解きますとそれぞれ12,000円（税込）くらいかかっております。いずれに致しましてもH様の大切な光学機器です。業者さんの選定等々、充分にご検討下さい。

修理報告

レンズ鏡胴内部に組み込まれている全ての硝子部位表面に付着していた埃・カビ除去処置施しました。レンズ全体としての光学的なクリアー度は復元しています。付着していたカビの種類は主に点カビと雲状カビでした。全て除去できていますが、除去後の腐蝕痕が随所に残ります。

又、付着物ではないのですが。リヤ側最先端の硝子が素材そのものの劣化の為、薄っらとですが白濁してます。レンズが綺麗になった分、この白濁が目立ちます。この点、ご了承お願い申し上げます。絞り羽調整ダイヤルのガタツキに関しましては、関連伝達金属部位が摩耗してしまっているのが原因ですので、修理の範疇では復元は難しいちお判断致します。

締め付けが甘い場合は、関連部位の締め付け処置で課題は解決しますが、今回の個体は原因が金属の摩耗ですので、この点もご了承お願い申し上げます。もう一つの135mmに関しましては、お電話にてもお伝え致しましたが、手遅れ感が否めません。絞り羽が中途半端な指標領域でしか駆動しませんが、処置前と比較すると少しだけ撮影の為の道具としての機能は復元しています。カビの付着に関しましても、末期症状ですのでご了承下さい。整備工程にて撮影したいくつかの写真UPしておきますので、併せてご参照下さい。

参考写真

光学系付着物＝処置前の状態

納品に関しまして

※お願い・・・銀行お振込み頂きましたら、その旨メールにてお知らせ頂けますと幸いでございます。確認後速やかに納品させて頂きます。

発送方法	クロネコ発払い便
送り状NO	別途メールにて報告
配送状況	お荷物追跡システム

ご決済に関しまして

整備費	15,000円（税込）
クロネコさん送料	神奈川県（一律）＝930円（税込）
決済方法	銀行振り込み
合計	15,930円
お願い	ご決済後メールにてお知らせ下さい

ご縁ございましたら、今後もお付き合い・ご指導宜しくお願い申し上げます。
（一社）日本レンズ協会 代表理事 田斉 健輔