この機種は、時々修理依頼を頂く機種の一種ですが、レンズ鏡胴内部に組み込まれている硝子玉一つひとつがコンタクトレンズくらいの大きさで、とても小さいので、取扱い及びクリーニングの所作そのものが少し難しい扱いの機種になります。構造自体はとても理にかなったシンプルな仕組みになっていますが、造りそのものがとても精巧にできていて、各部位の取り外し、再組立時に神経を使います。
今回お預かり致しました個体は、初見した段階でとても大切にされてきた経緯が想像できる程、レンズ鏡胴内部に組み込まれている硝子玉に付着しているカビ以外は、とても状態の良いレンズでした。この光学系付着物が原因でレンズ全体が白濁してる症状でしたが、付着物を除去しましたので、レンズ全体としての光学的なクリアー度は復元しましたのでご安心下さい。
レンズ検査ご依頼までの流れ(経緯)
今回のご依頼はメールにて受け付けましたので、その内容を簡潔にまとめました。
ライカ 旧ズマロン 3.5cm F3.5 レンズの清掃について
標記の件につきまして、お尋ね申し上げます。Nr.1159317でレンズ内に埃などのあるBランク品として購入したものです。レンズの分解清掃(光学系)整備をお願いしたいのですが、おおよその費用をお教え下さい。
こちらからのお返事
お問い合わせありがとうございます。レンズ鏡胴内部への必要なアクセスが順調に進めば光学系付着物除去は可能と推測致します。過去の修理記録台帳を紐解きますと同機種にて25,000円(税込)くらいかかっております。I様の大切な光学機器です。業者さんの選定等々、充分にご検討下さい。
頂きましたメール
早速のご回答ありがとうございます。御著で当該レンズの分解整備法を拝見しましたが、不器用な私ではとても手に負えませんので修理をお願い申し上げます。貴会ホームページの手順に従い、当該レンズを送付いたしますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。なお準備のため発送は来週になる予定です。
機種名 | Ernst Leitz GmbH Wetzlar Summaron 3.5cm F3.5 |
シリアルNO | 1159317 |
付属品 | 前後キャップ、ケース、カビ防止剤 |
課題(所有者さん見解) | 光学系付着物除去 |
修理報告
レンズ鏡胴内部全ての硝子玉部位表面に付着していた埃・カビ全て除去致しました。レンズ全体としての光学的なクリアー度はかなり復元しています。付着していた主なカビの種類は点カビでした。
カビそのものは全て除去できていますが、除去後の腐蝕痕が厳密に検査すると、若干ですが残ります。対物側から入射された光源が、カメラ撮像素子に届く光束総量を新品時で100とすると、処置前の数値は60くらいでしたが、処置後は95くらいの指標値まで復元していますので、この機種本来の持ち味が発揮できるのではないかと思っております。
鏡胴外観及びフォーカス調整機構、絞り羽ユニット機構共に、とても状態の良いレンズです。未使用期間が長期化しない様、今まで同様に大切にご所有下さい。整備の過程で撮影したいくつかの写真貼付致しますので、併せてご参照下さい。
参考写真
納品に関しまして
※お願い・・・銀行お振込み頂きましたら、その旨メールにてお知らせ頂けますと幸いでございます。確認後速やかに納品させて頂きます。
発送方法 | クロネコ発払い便 |
送り状NO | 別途メールにて報告 |
配送状況 | お荷物追跡システム |
ご決済に関しまして
整備費 | 25,000(税込) |
送料 | 片道づつ相互負担 |
決済方法 | 銀行振り込み |
お願い | ご決済後メールにてお知らせ下さい |
お振込み先銀行
・みずほ銀行
・五香支店
・口座名義 一般社団法人 日本レンズ協会
・普通口座
・口座番号 1715154
ご縁ございましたら、今後もお付き合い・ご指導宜しくお願い申し上げます。
(一社)日本レンズ協会 代表理事 田斉 健輔
納品後、お礼のメールを頂きました
ありがとうございます。励みになります。