整備内容

整備内容は主に二種類に分類されます

※駆動系=フォーカス調整機構と絞り羽ユニット機構

※光学系=カビ等光学系付着物除去

駆動系①=フォーカス調整機構

フォーカス調整機構
フォーカス調整機構
フォーカス調整機構螺旋状部

左写真例の様にレンズの螺旋状部位は少し独特な形状構造になっています。主な支障現象はトルクが重かったり、反対にスカスカだったりという症状が多いのですが、この螺旋状部に傷があったり歪んでしまっている個体が多いのが実情です。

単なる汚れの付着が原因の場合は、除去処置にて課題が解決するケースはありますが、上記の様な症状が原因の場合は、遜色のない同規格部位交換を要しますので、該当部位の入手ができれば処置を施す事は可能になります。

実際に個体を初見(検査)してみて判明します。

駆動系②=絞り羽ユニット機構

絞り羽ユニット機構
絞り羽ユニット機構

絞り羽ユニット機構フイルム本体が解放のまま固着

主な症状としては、絞り羽フイルム本体が解放のまま絞り羽ユニットBOXに収納された状態で固着してしまっている現象です。左写真例の様にフイルム本体が姿を現す様に処置を施します。主な原因は、フォーカス調整機構螺旋状部のグリスが付着する事によります。この油分を除去する事で課題が解決するケースが多いです。

化学的にはまだ判明していないのですが、同機種でもこの様な症状になってしまう個体と、そうでない個体に分類できます。この様な傾向にあるレンズはこちらで処置を施した後、同じ様な症状になってしまうケースが多いので、ご自宅でできる簡易的な方法を動画で収録して所有者さんと二人三脚で状態を維持する事が必要になります。

光学系=カビ等光学系付着物除去

カビ等光学系付着物
カビ等光学系付着物
無数の点カビの付着例

左写真例の様に、カビ等の付着物を除去します。光学系付着物は見た目にも気分が良くないのですが、実写にはそんなに影響がないケースが多いです。ただ、鏡胴内部を通過する光束総量に影響がありますので、早い段階で除去処置を施しておいた方が安心です。

長期間カビが付着している症状を放置していると、カビそのものは除去できても、除去後の腐蝕痕が残ってしまいます。この腐蝕痕は撮影に影響はありませんが、やはり早い段階での処置が最善になります。簡単な構造のレンズは、ご自身で整備できる様になる事を推奨しています。細かな作業がお好きな方は、その旨お問い合わせ下さい。

バルサム
バルサム
バルサムについて

時々お問い合わせがあるのですが、レンズ鏡胴内部を覗くと白濁している個体が散見されます。主な原因は該当部位に付着したカビ等の付着物なのですが、その原因が付着物でないケースもあります。

一般的には、バルサム切れ・・・等と呼ばれていますが、正確には合成レンズの貼りあわせ面にて起きている現象になります。二枚のレンズを貼り合わせている、天然樹脂素材の流動性粘着物自体が劣化してしまって起きる現象で、これも未だ科学的には解明されていませんが、このよな症状になりやすい傾向の機種があるのは事実です。この課題は残念ですが修理の範疇では解決できません。パッと見では付着物なのかどうかの判断は一般の方にとっては難しいです。

尚、オート機能が組み込まれたZoomレンズに関しましては、最新の機種ほど修理は難しいです。製造元が販売後の整備を意識していない構造になっていますので、何か支障が起きた場合は、先ずはメーカーさんに問い合わせてみて下さい。保証期間中でしたら無償で修理してくれる所もあります。昔のフイルム時代の単焦点レンズでしたら、概ね鏡胴内部にアクセスできますので、処置は可能になります。

又、落下や水没による支障は、その一瞬でレンズとしての機能を失ってしまうケースが多いので、普段の取扱いには充分配慮して頂く様お願い致します。そして、時々ご自身で簡単な整備を施して頂く事を推奨しています。放置が一番良くないので、カメラ本体に装着しなくても。時々手に取っていじってあげて下さい。鏡胴内部に空気の流れが発生し、カビ等の増殖に効き目があります。又絞りを解放にして、自然光を入れてあげるのも有効ですので、是非保管時の参考にして下さい。