Leica L Summar 5cm F2 修理報告

Leica L Summar 5cm F2レンズの様な沈胴タイプは、その構造上の特質からフォーカス調整ダイヤルトルク感が固くなってしまいます。同時に未試用期間が長期化すると、カビ等の光学系付着物がレンズ鏡胴内部ガラス玉表面に付着増殖してしまうので、他の機種同様注意が必要です。Leica L Summar 5cm F2レンズの場合は類似機種よりも口径が大きいので整備作業そのものは、その分比較的容易な部類に入りますが、所有者さんがご自宅で整備する対象機種としては、少し難易度が高いので積極的には推奨はしておりません。

レンズ検査ご依頼までの流れ（経緯）

今回のご依頼はお電話にて受け付けましたので、その内容を簡潔にまとめました。

レンズを覗くとカビの様なものが見えます。また依然と比べると撮影の際被写体が見え難くて困っています。ピントリングも固く感じ、全てを現状よりも改善したもらいたくて連絡しました。可能でしょうか？相当昔に購入しましたが、しばらくしまったままの状態でした。急ぎませんので、宜しくお願い致します。又、協会さんの比較的近くに住んでいますので、持ち込んで見て頂く事は可能でしょうか？諸々宜しくお願い致します。

機種名	Leica L Summar 5cm F2
シリアルNO	483125
付属品	前後キャップ、フィルター
課題（所有者さん見解）	レンズを覗くとカビの様なものが見えます。また依然と比べると撮影の際被写体が見え難くて困っています

修理報告

鏡胴内部全てのレンズ表面に付着していた埃・カビ除去しました。レンズ全体としての光学的なクリアー度は復元しています。付着していた点カビが腐蝕カビで、除去後の腐蝕痕が残ります。この点ご了承下さい。こちらにご来所時説明しましたが、レンズの様な光学機器は未試用期間が長期化すると、随所に支障をきたしてしまいます。今回の処置でしばらくの期間は快適に実写ができると思いますが、復元した状態を維持する為にも、時々手に取ってレンズ鏡胴内部に空気の流れをつってあげて下さい。その際、むき出しになっているフォーカス調整機構螺旋状部に目につく汚れが付着している場合は、簡単でいいので除去して下さい。その際には、ご来所の際に小分けしましたグリスも少量添付してあげて下さい。神経質になる必要はありませんが、無頓着な放置状態にならに用、ご協力お願い申し上げます。尚、修理工程で何枚か写真を撮りましたので併せてご参照下さい。