Leitz GmbH Summaron 3.5cm F3.5 修理記録

Leitz GmbH Summaron 3.5cm F3.5というレンズは、 Leitzの純正広角レンズの一種で、解放F値違いで、Leitz GmbH Summaron 3.5cm F2.8という機種も存在します。 Summaronとは戦後、 Leitzの広角レンズに付けられた名称になります。焦点距離35mm、開放値F3.5のLマウントレンズ自体は戦前＝1930年頃から存在していたのですが、当時の名称は、開放値に由来する Elmar＝エルマーでした。

Leitzのレンズは、人名や製造された土地名等の、二つの単語の合成語や、解放F値による分類等で銘柄の命名に所以（ゆえん）があります。 この点に関しては、過去の修理記録台帳で、少し詳しく解説しておりますのでご参照下さい。

戦前・戦後にかけてレンズ名称が変わった理由は、レンズ構成が変更された為といわれています。戦前の Elmar 3.5cm F3.5は3群4枚で、戦後の Summaron35mm F3.5は4群6枚というレンズ構造でした。ズマロン（Summaron）という名称には、Summicron＝ズミクロンや、Summilux＝ズミルックスの様に、 Leitzレンズに共通するSummという銘柄文字が含まれている機種があります。これはラテン語のSummaという単語に由来していて、最高のとか至上のという意味合いが込められています。

修理の世界から、この機種を解説すると、鏡胴内部に組み込まれている硝子部位の一部が白濁し易い事があげられます。対物側から見て、絞り羽フイルムの向こう側の硝子部位に、点カビが付着しやすく、小さな硝子全面を真っ白に覆ってしまいます。付着物除去処置にて課題は解決するケースが多いのですが、硝子部位・金属部位共にとても小さな部位で構成されていますので、年齢を重ねるとこの所作は少し難易度が高く感じられる様になってきました。

GmbHとは

ちなみに、 Leitz・Leicaのレンズを整備していると、その銘柄にGmbHという表記が見られます。以前の記事で解説したかもしれませんが、この GmbH＝ゲーエムベーハーと発音します。独語ではGesellschaft mit beschränkter Haftungとなるのですが、ドイツ国における有限責任会社の事を意味します。

レンズ検査ご依頼までの流れ（経緯）

今回のご依頼はメールにて受け付けましたので、その内容を簡潔にまとめました。

今回お預かりした機種

整備報告

光学的な付着物に関してですが、鏡胴内部全てのレンズ表面に付着していた埃・カビ除去しました。レンズ全体としての光学的なクリアー度は復元しています。白濁の主な原因は、雲状カビと点カビでした。只、付着していた点カビが腐食カビで、除去後の腐食痕が随所に残ります。又、レンズ表面に無数の擦れ傷があります。レンズが曇っている時は、それ程気になりませんでしたが、レンズが綺麗に復元した分、この様な症状が大変目立ちます。ご了承下さい。

駆動系、フォーカス調整ダイヤルが固いとの御見解ですが、関連螺旋状部に付着してる汚れ除去しましたので、そのトルク感は処置前と比較すると軽めに復元したと感じます。部位交換するすることなしで、修理の範疇にて施せる処置は全て施しました。

お電話にてもお伝え致しましたが、レンズの様な光学機器は、未使用期間が長期化すると、今回の様に随所に支障をきたしてしまいます。なるべく豆に使って頂きます様お願い致します。外観共に状態の良いレンズです。今まで同様大切に御所有下さい。お願い致します。

納品に関しまして

※お願い・・・銀行お振込み頂きましたら、その旨メールにてお知らせ頂けますと幸いでございます。確認後速やかに納品させて頂きます。

発送方法	クロネコ発払い便
送り状NO	別途メールにて報告
配送状況	お荷物追跡システム

ご決済に関しまして

整備費	18,000円（税込）
クロネコさん送料	神奈川県（一律）＝930円（税込）
決済方法	銀行振り込み
合計	18,930円
お願い	ご決済後メールにてお知らせ下さい

ご縁ございましたら、今後もお付き合い・ご指導宜しくお願い申し上げます。
（一社）日本レンズ協会 代表理事 田斉 健輔