今回お預かり致しましたレンズは、Leitz社初の大口径ハイスピードレンズ=明るいレンズだという話は有名です。今では、開放F値=1.5は単焦点オールドレンズとしては、驚く値ではありませんが、1940年頃の時代には、相当に明るいレンズだったに違いありません。
販売当時としては相当な高級レンズであったかを感じさせてくれる質感のこのレンズは、テイラーホブソンの技術供与があって実現したといいます。そのレンズが、Xenonという銘柄のレンズになります。
いつも懇意にお付き合いさせて頂いている写真家の方が、両方の機種を大切に所有されていて、今年のお正月に二つ共に整備をご依頼頂きましたので、XenonとLeitzをほぼ同時に整備できた事は、修理の世界に身を置く立場の人間として、とても光栄に感じております。
テーラーホブソン(Taylor Hobson )
テーラーホブソン(Taylor Hobson )はイギリスの精密測定機メーカー。元は光学機器メーカーであり、映画用レンズ、軍用光学機器の他リード用など一般カメラ用レンズを製作していた。
出典: フリー百科事典 ウィキペディア(Wikipedia)
こんな時代的な背景を持ったレンズが、2021年の今でも愛用されている事に、驚きと感銘を感じながら、Leitz Summarit 5cm F1.5という機種の整備をさせて頂く事になりました。
修理ご依頼に至るまでの経緯
今回はメールにてお問い合わせ頂きましたので、内容を簡潔にまとめてみました。
ご依頼者様から頂いたメール
Leitz Xenon 5cm F1.5 では、大変お世話になりました。動きも順調で、レンズもとても綺麗なりました。満足しております。早速ですが、このレンズのライカ版を協会さん宛に送付いたしましたので、全体的にみて頂き、必要な箇所を整備お願い致します。こちらも、前回同様額くらいでやって頂けますと嬉しいです。宜しくお願い致します。
今回お預かり致しました機種
機種名 | Leitz Summarit 5cm F1.5 |
シリアルNO | 821387 |
付属品 | 前後キャップ、フイルター |
課題(所有者さん見解) | 全体的な検査 |
ご希望予算 | 20,000円くらい |
整備報告
レンズ鏡胴内部に組み込まれている、全てのガラス部位表面に付着していた埃・カビ除去しました。カビの種類は主に点かびと雲状カビでした。除去後の腐食痕も残らないで、レンズ全体としての光学的なクリアー度はかなり復元しております。
除去前写真
絞り羽ユニット機構
フォーカス調整機構螺旋状部グリスが、絞り羽ユニット機構に流れ落ちていましたので、除去処置施しました。その駆動は滑らかに復元しております。このレンズは、絞り羽フイルムが12枚構成になっていて、固着しやすい構造なのですが、今後しばらくは問題なくお使いになれると思いますのでご安心下さい。
この度は、希少なレンズを2本整備後依頼頂きまして誠にありがとうございました。2本ともにとても状態の良いレンズですので、今まで同様今後も大切にご所有下さい。
納品に関しまして
※お願い・・・銀行お振込み頂きましたら、その旨メールにてお知らせ頂けますと幸いでございます。確認後速やかに納品させて頂きます。
発送方法 | クロネコ発払い便 |
送り状NO | 別途メールにて報告 |
配送状況 | お荷物追跡システム |
ご決済に関しまして
整備費 | 20,000円(税込) |
クロネコさん送料 | 神奈川県(一律)=930円(税込) |
決済方法 | 銀行振り込み |
合計 | 20,930円 |
お願い | ご決済後メールにてお知らせ下さい |
お振込み先銀行
・みずほ銀行
・五香支店
・口座名義 一般社団法人 日本レンズ協会
・普通口座
・口座番号 1715154
ご縁ございましたら、今後もお付き合い・ご指導宜しくお願い申し上げます。
(一社)日本レンズ協会 代表理事 田斉 健輔