今回お預かり致しました機種は、当協会でもあまりご依頼を頂く機会のない、少し特殊なレンズです。Bellowsとは蛇腹を意味していて、元々は、 Bellows 装置というものが接写のための道具として、旭光学工業さんが、TTL測光機=Pentax SPを世に出した際の技術でした。もう少し詳しく説明すると、Autoというのは自動絞りの事なのですが、先ずはファインダーが明るく見える絞り開放でピント合わせを行い、その後シャッターを切る時点では設定した絞り値に絞り込まれる、という一眼レフカメラには必須の機能を、カメラと交換レンズの間に装着するBellows装置においても使用できるようにする、というのが製品としての当時の目的でした。
レンズの構造的にはとてもシンプルで、整備内容がカビ等付着物の除去でしたら、業者さんに依頼しなくても、構造さえわかっていれば、ご自宅でどなたでも整備できます。その際、ちょっとした治具と、専用クリーニング溶液は必要になります。今回のお問い合わせ段階で、その旨お話し差し上げた次第ですが、当協会に依頼して頂けるという経緯でお預かりする事になりました。
SONY α7ミラーレスカメラ装着例。こんな感じで、カメラに装着して、ピント合わせは蛇の目の繰り出しで操作します。他のカメラでの撮影も可能だとは思いますが、このレンズは一般的にはこの様な使用方法がレンズの持ち味を発揮できるのではないかと推測致します。特に接写が必要な被写体時にあると重宝する機種の一種だそうです。
レンズ検査ご依頼までの流れ(経緯)
今回のご依頼はメールにて受け付けましたので、その内容を簡潔にまとめました。
ご依頼者様から頂いたメール
Minoltaの接写用レンズなのですが、カビを生やしてしまいました。そんなに頻繁には使っていなかったのですが、やはりカビが気になります。綺麗にする事は可能でしょうか?正確な機種名はMinolta Auto-Bellows Rokkor 100mm F4です。最初にお電話にてお問い合わせ時、構造的にシンプルなので、自分でも可能と教えてもらいましたが、やはり御社のお願いしたいと思い、再度メールさせて頂いた次第でございます。予算的には15,000円くらいを想定しておりますが如何でしょうか?
今回お預かり致しました機種
機種名 | Minolta Auto-Bellows Rokkor 100mm F4 |
シリアルNO | 1121094 |
付属品 | 前後キャップ |
課題(所有者さん見解) | カビの除去 |
ご希望予算 | 15,000円くらい |
整備報告
レンズ鏡胴内部全ての硝子部位表面に付着していた埃・カビ除去しました。レンズ全体としての光学的なクリアー度は復元しています。付着していたカビは点カビ・雲状カビ・菌糸状カビでした。カビそのものは除去できていますが、それぞれのカビが一部腐食カビで、除去後の腐食が所々に残ります。この点ご了承下さい。外観・駆動系共にとても状態の良いレンズです。今まで同様今後も大切にご所有下さい。
レンズユニット
この塊を分解して、組み込まれている硝子部位をメインにクリーニングします。勿論、他にも硝子部位は組み込まれています。
硝子部位に付着していたカビ=処置前写真
絞り羽ユニット機構
又、絞り羽の動きがやや緩慢でしたので、関連部位に付着していた汚れ除去処置施しました。駆動は滑らかになったと思います。
納品に関しまして
※お願い・・・銀行お振込み頂きましたら、その旨メールにてお知らせ頂けますと幸いでございます。確認後速やかに納品させて頂きます。
発送方法 | クロネコ発払い便 |
送り状NO | 別途メールにて報告 |
配送状況 | お荷物追跡システム |
ご決済に関しまして
整備費 | 15,000円(税込) |
クロネコさん送料 | 三重県(一律)=930円(税込) |
決済方法 | 銀行振り込み |
合計 | 15,930円 |
お願い | ご決済後メールにてお知らせ下さい |
お振込み先銀行
・みずほ銀行
・五香支店
・口座名義 一般社団法人 日本レンズ協会
・普通口座
・口座番号 1715154
ご縁ございましたら、今後もお付き合い・ご指導宜しくお願い申し上げます。
(一社)日本レンズ協会 代表理事 田斉 健輔