このレンズシリーズは幾つかの機種に分類されますが、今回お預かり致しましたMinolta Auto Rokkor PF 58mm F1.4というレンズは、1961年に販売された初期型タイプになります。どのタイプもレンズ構成は5群6枚の拡張ガウス型ですが、初期型はフィルター枠の周りがシルバーカラーのデザインとなっていました。勿論、フイルムカメラの時代のレンズですから、MINOLTAの一眼レフカメラSR-1・SR-2・SR-3シリーズに搭載するキットレンズとして登場しています。
この機種の一番の特徴は、レンズが6枚構成という点にあります。レンズの枚数はレンズの性能と密接な関係があるのですが、レンズ枚数が多ければ多いほど補正できる収差(光学的不具合)は多くなります。
一般的には明るいレンズを作る為には、レンズの口径を大きくするか、レンズの枚数を増やすか、屈折率の高い硝子素材を使う必要があるのですが、口径を大きくするとコンパクトな製品は望めなくなり、屈折率の高い硝材はコストがかってしまいます。
そのため世の中の解放値F1.4クラスの一眼レフ用に開発されたレンズのほとんどが、7枚構成を採用していました。そんな歴史的背景の中、このレンズは6枚構成を採用したちょっと珍しいタイプの構造を持った機種になります。
レンズ検査ご依頼までの流れ(経緯)
今回のご依頼はメールにて受け付けましたので、その内容を簡潔にまとめました。
カビのようなものが見られます。ピントリングが非常に重いです。以前からこの症状は気にはなっていたのですが、そろそろ一度ちゃんと整備しようと思ってメールした次第です。Minolta Auto Rokkor PF 58mm F1.4というかなり古いレンズですが修理可能でしょうか?もし可能であればすぐにでも送りますので、宜しくお願い申し上げます。費用は10,000円くらいで収まればありがたいです。
機種名 | Minolta Auto Rokkor PF 58mm F1.4 |
シリアルNO | 1237392 |
付属品 | リヤキャップ、フイルター |
課題(所有者さん見解) | カビのようなものが見られます。ピントリングが非常に重いです。 |
修理報告
先ず、光学系付着物に関してですが、鏡胴内部全てのレンズ表面に付着していた埃・カビ除去しました。レンズ全体としての光学的なクリアー度は復元しています。カビの種類は主に点カビと雲状カビでした。復元状態は概ね良好ですが、付着していたカビが腐蝕カビで、除去後の腐蝕痕跡が随所に残ります。
又、レンズ表面中央に大きめの擦れ傷があります。レンズが綺麗に復元した分この様なこのレンズ本来の姿が露わになります。この点ご了承お願い致します。次に、フォーカス調整機構固着に関してですが、関連螺旋状部にこびり付いていた汚れ除去しました。その動作は軽めに復元しています。
只、汚れの付着が石の様に固着していて、95%位の除去は処置済ですが、残りの汚れが今後の使用中に浮き出てきます。その際に再びトルク感が重めに感じられると推測致します。その際は、お電話にてお話ししました専用クリーナーを時々噴霧して下さい。こちらと所有者様の二人三脚にて、この固体の状態を維持していくしか方法はありません。ご協力お願い致します。尚、今回の整備工程にて撮影したいくつかの写真もご参照下さい。
参考写真
納品に関しまして
※お願い・・・銀行お振込み頂きましたら、その旨メールにてお知らせ頂けますと幸いでございます。確認後速やかに納品させて頂きます。
発送方法 | クロネコ着払い便 |
送り状NO | 別途メールにて報告 |
配送状況 | お荷物追跡システム |
ご決済に関しまして
整備費 | 10,000円(税込) |
決済方法 | 銀行振り込み |
お願い | ご決済後メールにてお知らせ下さい |
お振込み先銀行
・みずほ銀行
・五香支店
・口座名義 一般社団法人 日本レンズ協会
・普通口座
・口座番号 1715154
ご縁ございましたら、今後もお付き合い・ご指導宜しくお願い申し上げます。
(一社)日本レンズ協会 代表理事 田斉 健輔