M-Rokkorモデルのレンズは、Minolta社がLeitz社と提携を解消した後に、独自でCLカメラ用に発表したレンズで、Leitz Elmarit-M 28mm F2.8を凌ぐ写りと、当時は評判のレンズだったそうです。そんな逸話からも、光学機器の分野で日本の技術の高さが窺える機種に属すレンズなのだと思います。Leitz Minolta CLのCLはCompact Leitzの略と言われています。
日本のカメラ業界が成長していた1970年代、ドイツの老舗カメラメーカーであるLeitz社は、日本のMinolta社の技術に注目し業務提携を持ちかけたといいます。当時、ドイツ国内での賃金が高騰していた事にも所以していたのでしょうが、概ね半分のコストで高品質のカメラが生産できる日本で、安定した生産・供給を計画していました。
そして、Leitz社が設計しMinolta社が日本国内で製造したLeitz Minolta CLは、1973年に誕生しました。私は写真家ではないのですが、懇意にしている愛好家の方に伺うと、Leitz Minolta CLの最大の特徴は、従来のM型ライカの性能を持ちながら、小型軽量化に成功している点で、手のひらに収まりやすいサイズとなっていて、今でもこのカメラを愛用されている方は多い様です。
Leitz Minolta CLには日本国内向けと海外向けの2種類が存在します。国内向けはLeitz Minolta CLの銘柄で販売され、ボディにもLeitz Minolta CLと刻印され、Minolta社が販売しました。そして、海外向けは、Leica CLの銘柄で販売され、ボディにもLeica CLとだけ刻印され、Leicaが販売していました。今回は、こんな歴史的背景を持つ、フイルムカメラ時代のオールドレンズをお預かりする事になりました。
修理ご依頼に至るまでの経緯
今回はお電話にてお問い合わせ頂きましたので、内容を簡潔にまとめてみました。
ご依頼者様から頂いたお電話
Minolta M-Rokkor 28mm F2.8というレンズなのですが、レンズが曇ってきたので、自分で清掃しようと思ったのですが、上手くいきません。20,000円くらいで綺麗にしてもらえる様でしたら、是非お願いしたのですが如何でしょうか?自宅がそばなので、レンズを持ってお伺いする事は可能でしょうか?ご検討お願い致します。
今回お預かり致しました機種
機種名 | Minolta M-Rokkor 28mm F2.8 |
シリアルNO | 1003598 |
付属品 | 前後キャップ、フイルター |
課題(所有者さん見解) | 曇り |
ご希望予算 | 20,000円くらい |
整備報告
実際にご来所なさったので、整備工程を全てご覧になったと思いますが、レンズ鏡胴内部に組み込まれている、全てのガラス部位表面に付着していた埃・カビ除去しました。カビの種類は主に点カビと雲状カビでした。レンズ全体としての光学的なクリアー度は復元しています。付着していた点カビの一部が腐食カビで、除去後の腐食痕が若干ですが残ります。この点ご了承下さい。復元しましたレンズの外観・駆動系共に大変状態の良い個体です。今まで同様、今後も大切にご所有下さい。
処置前光学系付着物状態
レンズユニットとレンズ鏡胴内部
納品に関しまして
※お願い・・・再組み立て後、光学系数値検査致しまして、納品させて頂きますので、銀行お振込み頂きましたら、その旨メールにてお知らせ頂けますと幸いでございます。確認後速やかに納品させて頂きます。
発送方法 | クロネコ発払い便 |
送り状NO | 別途メールにて報告 |
配送状況 | お荷物追跡システム |
ご決済に関しまして
整備費 | 20,000円(税込) |
クロネコさん送料 | 千葉県(一律)=930円(税込) |
決済方法 | 銀行振り込み |
合計 | 20,930円 |
お願い | ご決済後メールにてお知らせ下さい |
お振込み先銀行
・みずほ銀行
・五香支店
・口座名義 一般社団法人 日本レンズ協会
・普通口座
・口座番号 1715154
ご縁ございましたら、今後もお付き合い・ご指導宜しくお願い申し上げます。
(一社)日本レンズ協会 代表理事 田斉 健輔
ご縁ございましたら、今後もお付き合い・ご指導宜しくお願い申し上げます。
(一社)日本レンズ協会 代表理事 田斉 健輔