Minolta MC Rokkor-PF 55mm F1.7 修理記録

Minoltaレンズの優秀さはクラシックカメラに詳しい写真愛好家の方から頻繁に耳にするので疑いの余地はなく、マウントアダプターを介して、装着するだけでも楽しく、デジタルカメラでも時空を超えてその味を堪能できるというのは、とても楽しいという。オールドレンズらしく逆光ではフレアが出やすいが、そこは愛用のカメラの機能を駆使しながら自分だけの一枚を撮る瞬間に集中すること自体に醍醐味があるらしい。しかし、製造から半世紀以上経っているので、レンズ鏡胴内部の状態は殆どの個体が問題を抱えているケースが多い。修理の世界に身を置く立場の人間の感想としては、絞り羽ユニット機構にフォーカス調整機構螺旋状部のグリスが流れ落ちて付着しやすい傾向にある機種の一種だと思う。今回お預かりしたレンズは、所有者さんのリクエストで、綺麗にして欲しいという内容でしたので、レンズ鏡胴内部に組み込まれている光学系部位全ての付着物除去処置を施しました。

レンズ検査ご依頼までの流れ（経緯）

今回のご依頼はメールにて受け付けましたので、その内容を簡潔にまとめました。

ミノルタのオールドレンズ2本の分解クリーニングをお願いしたくご相談申し上げます。親の形見です。故障はしていないようですが、仮に故障していても修理は必要ありません。見た目綺麗になれば十分です。予算は2本で2万円ほど（以内）と考えています。お見積もり宜しくお願いいたします。
2021年1月28日（木）

標準55mmレンズミノルタ MC ROKKOR-PF 1:1.7 f=55mm 2509993状態：埃を被っていますが曇りもなく上記の望遠と比べると綺麗です。素人クリーニングでも行けそうな気もしますが、折角の機会なのでお願いしたいと思います。

機種名	Minolta MC Rokkor-PF 55mm F1.7
シリアルNO	2509993
付属品	フロントキャップ、フイルター
課題（所有者さん見解）	見た目綺麗になれば十分です

修理報告

レンズ鏡胴内部全てのガラス玉表面に付着していた埃・カビ除去処置施しました。レンズ全体としての光学的なクリアー度は復元しています。付着していたカビの種類は主に点カビでした。除去後の腐蝕痕は残りますが、復元状態は良好な部類に入ると思います。レンズ対物側から入ってきて、カメラ本体素子に届く光の総量を光束と呼んでいますが、処置前の数値が40だったのに対し、処置後は85までに復元しています。レンズ全体が綺麗になった分、除去後の腐蝕痕と経年で付いてしまった擦れ傷が目立ちます。この点ご了承お願い申し上げます。絞り羽の動きが若干ですが緩慢なのと、フォーカス調整機構螺旋状部グリス切れの状態ですが、まだまだ実写に際して活躍できる状態です。今まで同様未試用期間が長期化しない様に留意して頂きまして、今後も大切にご所有下さい。作業中の幾つかの写真UPしておきますので、解説文章と併せてご参照下さい。