今回お預かり致しました機種には、合成レンズが組み込まれています。今までのお預かり経験からの解説になりますが、その合成レンズの張り合わせ面にて白濁症状が進行している個体が散見されます。この症状は、カビ等の光学系付着物ではないので、除去できません。今回のご依頼は、該当部位に問題のない別の個体からの移植という手段で整備致しました。
合成レンズ
白濁
この様な症状では、この機種本来の持ち味を活かした撮影は難しいと思いますが、移植が順調にいきましたので、問題なく実写できると思います。又、絞り羽ユニット機構に関する具合も、修理の範疇で処置致しましたので、その駆動は復元しております。
レンズ鏡胴内部金属部位の錆
TTL機構とOlympus-PEN FT
このレンズは、元々Olympus-PEN FTというフイルムカメラ用の交換レンズとして製造・販売されていました。そのフィルムカメラにはTTL露出計が内蔵されており、ファインダーを覗くと、ファインダー内左側に0~6の様な数字が目視できます。このファインダー内露出確認機構の事をTTL露出計といいます。詳しくはWikipedia-TTL露出計記事をご参照下さい。
この指標数値はレンズにもマニュアル連動していて、レンズの絞り羽調整ダイヤルにある0~6の数字を目安にして設定することで、ファインダー内の針が示す数値と絞りリングの数字を合わせれば適正露出が得られるシステムになっていました。
なので、このレンズには0~6 のTTLナンバーがふられています。勿論通常の絞り羽指標数値も活かす事ができる設計になっていて、その操作方法は絞り羽調整ダイヤルを持ち上げて切り替える事ができます。
修理ご依頼に至るまでの経緯
今回はメールにてお問い合わせ頂きましたので、内容を簡潔にまとめてみました。
ご依頼者様から頂いたメール
いつもお世話になります。今回何とかして欲しいレンズは、オリンパスペンFマウントで一番明るいレンズといわれているOlympus H.Zuiko Auto-S 42mm F1.2大口径レンズです。同じ写真倶楽部の仲間から、曇っていて、絞り羽も動かないけど、良かったらあげるよと言われ譲ってもらいました。2万円くらいの予算で直せるものでしたら、是非お願い致します。レンズが側のTTL露出ダイヤルという機構にも興味があり、できうる範囲で結構ですので、前回お問い合わせしました、ピントリングが全く動かないレンズと2本送りますので、撮影できる状態のレンズに合体させて頂けると嬉しいです。
今回お預かり致しました機種
機種名 | Olympus H.Zuiko Auto-S 42mm F1.2 |
シリアルNO | 110579 |
付属品 | フロントキャップ |
課題(所有者さん見解) | 2個体の状態の良い部位を組み合わせる |
ご希望予算 | 20,000円 |
整備報告
お電話にてもお話し致しましたが、駆動系・光学系の良い部位だけ残して、一つのレンズ作ってみました。このレンズの持ち味を活かした撮影ができるレベルくらいには、その状態は復元していると思います。お仲間の方にも宜しくお伝え下さい。
納品に関しまして
※お願い・・・銀行お振込み頂きましたら、その旨メールにてお知らせ頂けますと幸いでございます。確認後速やかに納品させて頂きます。
発送方法 | クロネコ発払い便 |
送り状NO | 別途メールにて報告 |
配送状況 | お荷物追跡システム |
ご決済に関しまして
整備費 | 20,000円(税込) |
クロネコさん送料 | 静岡県(一律)=930円(税込) |
決済方法 | 銀行振り込み |
合計 | 20,930円 |
お願い | ご決済後メールにてお知らせ下さい |
お振込み先銀行
・みずほ銀行
・五香支店
・口座名義 一般社団法人 日本レンズ協会
・普通口座
・口座番号 1715154
ご縁ございましたら、今後もお付き合い・ご指導宜しくお願い申し上げます。
(一社)日本レンズ協会 代表理事 田斉 健輔