P-Angenieux Paris Retrofocus Type R1 35mm F2.5は、1950年に製造されたM42マウント規格のレンズです。Retrofocus Typeというと、一見、レトロ=復古調・・・というイメージを想像してしまうが、ヨーロッパを代表するフランスの光学機器メーカーAngenieux Paris社は、そういう意味合いで命名したのではなくて、焦点=(フォーカス)を後退=レトロさせるという意味で、その名を付けたと認識しています。
それまでの広角レンズの最前面に大型の凹レンズを取り付け、一眼レフカメラのセンサー面やフィルム面までのバックフォーカスを長くする設計で、ミラーの空間確保を可能にするという画期的なものであったという。この機種に限らず、Angenieux Parisのレンズの愛好家の方は、この機種でしか醸しだせない微妙な絵を楽しんでおられるのだと思う。
レンズ検査ご依頼までの流れ(経緯)
今回のご依頼はメールにて受け付けましたので、その内容を簡潔にまとめました。
いつもお世話になっております。最近ebayで以前から欲しかったAngenieux Parisのレンズを購入しました。日本円で7万円だったので、お買い得かなと思いました。届いたので、家の中の物を取ってみたのですが、推測になりますが、カビと曇りが原因で、おそらく撮影してのハレはそのせいと思われます。いつもの様に、すべてそちらにお任せしますので、でき得る範囲で構いませんから整備して下さい。
機種名 | P-Angenieux Paris Retrofocus Type R1 35mm F2.5 |
シリアルNO | 373575 |
付属品 | 前後キャップ、アダプター |
課題(所有者さん見解) | カビと曇りが原因で、おそらく撮影してのハレは そのせいと思われます。 |
修理報告
鏡胴内部全てのレンズ表面に付着していた埃・カビ除去しました。レンズ全体としての光学的なクリアー度は復元しています。付着物が除去できた分、鏡胴内部を通過してカメラ本体までに届く【光束】総量は増えていますが、薄っすらと白濁している症状は完全には解決できませんでした。
合成レンズ張り合わせ面にて進行している現象ですので、この課題の解決は難しいです。この点、ご了承お願い致します。点カビ除去後の腐蝕痕が若干ですが残ります。同時に、特に表面積の大きい前玉表面の無数の擦れ傷も目立ちます。この様な複数の症状を総合的に判断しますと、曇りの除去率は70%くらいと判断致します。
メール段階での今回のご依頼内容にはありませんでしたが、フォーカス調整機構螺旋状部洗浄、軽めのグリスUP処置施しました。軌道の一部に歪みがありましたので、その個所を通過する際、やや引っ掛かりを感じますが、その感覚は軽めのトルク感に復元していると思います。全体的に大変状態の良い個体です。今後も大切にご所有下さい。お願い致します。又、今回の整備工程にて撮影した光学系付着物及びレンズ鏡胴内部の写真もご参照下さい。
納品に関しまして
※お願い・・・銀行お振込み頂きましたら、その旨メールにてお知らせ頂けますと幸いでございます。確認後速やかに納品させて頂きます。
発送方法 | クロネコ着払い便 |
送り状NO | 別途メールにて報告 |
配送状況 | お荷物追跡システム |
ご決済に関しまして
整備費 | 20,000円(税込) |
決済方法 | 銀行振り込み |
お願い | ご決済後メールにてお知らせ下さい |
お振込み先銀行
・みずほ銀行
・五香支店
・口座名義 一般社団法人 日本レンズ協会
・普通口座
・口座番号 1715154
ご縁ございましたら、今後もお付き合い・ご指導宜しくお願い申し上げます。
(一社)日本レンズ協会 代表理事 田斉 健輔