Pentax Super-Multi-Coated Takumar 200mm F4 修理記録

Pentax Super-Multi-Coated Takumar 200mm F4

こちらのレンズも、こちらでの構造研究が終わったので、修理して出品する為のレンズになります。どなたかこの機種をお探しの写真愛好家の方に使って頂ければ幸いでございます。M42スクリュー規格のマウントですので、このマウント規格のアダプターを介せば、デジカメやミラーレスにて実写が可能になります。

ご自宅での整備

レンズの整備に関しては、このマウント規格のレンズに共通している構造なので、一度構造の理解と整備手順と、必要な治具・溶剤を揃えてしまえば、ご自宅で定期的な整備ができる様になると思います。比較的安価で入手出来て、結構性能もいい単焦点標準レンズだと思います。

Pentax Super-Multi-Coated Takumar 200mm F4 順番に検査
Pentax Super-Multi-Coated Takumar 200mm F4 順番に検査

写真の様に、フイルター感覚でレンズ鏡胴対物側先端部部位を外します。そうすると、後は順番に鏡胴内部にアクセスできます。簡単な日常定期清掃くらいのレベルのクリ-ニングでしたら、とても簡単にできると思います。

絞り羽ユニット機構駆動系部位

以下の解説は、Pentax SMC Takumar 55mm F1.8 修理記録台帳のレポートでも解説していますが、一応このレポートでも同じ内容ですが、報告させて頂きます。

この機種の特徴として、絞り羽フイルム=板本体に動きを伝達する為の駆動系部位が、絞り羽調整ダイヤルの他に三つも組み込まれています。個人的には、調整ダイヤルだけで充分に機能的には足りていると感じていますが、その他の部位×3つが原因で、この機構が固着しやすくなっていると感じています。又、この伝達部位の名称・役割に関して時々お問い合わせを頂きますので、今回の出品を機に解説させて頂きます。動画の方が解りやすいと思ったので、下記UPしておきます。

Pentax SMC Takumar 55mm F1.8にて動画補足解説

【Auto】⇔【Man】 切替レバー

【Auto】⇔【Man】 切替レバー
【Auto】⇔【Man】 切替レバー

カメラ装着時Auto有効ボタン

カメラ装着時Auto有効ボタン
カメラ装着時Auto有効ボタン

【Auto】⇔【Man】ロック解除ボタン

【Auto】⇔【Man】ロック解除ボタン
【Auto】⇔【Man】ロック解除ボタン

私は、光学機器の修理の世界に身を置く人間なので、この三つの機能が実写の際どの様に役立つのかについては正確な言及ができませんが、出品に際しこの機構を確認た所、レンズ単体で検査すると、絞り羽が絞る方向に向かう途中、軽く引っかかる時があります。実写に際しては、調整ダイヤルにて明るさを調整する動作では不具合は感じませんでした。

ミラーレスカメラで撮影してみました

整備後に、お気に入りの場所で風景写真を撮影してみました。使用したカメラはSony αになります。シャッタースピード優先モードでマニュアルモードで撮影します。絞り値とシャッタースピードの関係さえ押さえておけば、後はピントを合わせるだけです。

Pentax Super-Multi-Coated Takumar 200mm F4+Sony α NEX5
Pentax Super-Multi-Coated Takumar 200mm F4+Sony α NEX5

撮影場所は、当協会所在地から自転車で10分くらいで行ける、松戸市古民家文化財に登録されている旧斎藤邸敷地内で撮影しています。この空間は個人的にもとてもお気に入りで、まるで時が止まってしまった様な、静かでとても落ち着ける空間です。お弁当を持って、3時間位撮影していると何だか元気が湧いてきます。きっと、あなたの傍にも心を癒してくれる身近な自然風景があると思います。

旧斎藤邸
旧斎藤邸松戸市内では数少ない光景が広がっています。
詳細は、松戸市教育委員会広報公式サイトをご閲覧下さい。

撮影当日は、晴れたり曇ったり雨が降ったりと、忙しい天気でしたが、レンズを濡らさない様に気を付けて、滴(しずく)をテーマに撮ってみました。望遠レンズですが、敢えて解放気味で接写して、背景がどうなるのか試してみました。このレンズは望遠ですので、鏡胴が長く重いので、ミラーレスの様な軽量級のカメラとの組み合わせだと、特にレンズの大きさを感じます。落下とかぶつけたりしない様に気を配る必要があります。

新芽
新芽
樹木の苔
樹木の苔
松の葉
松の葉
赤い木の実
赤い木の実
静寂
静寂
錆びた煙突
錆びた煙突

私は撮影の専門家ではありませんので、下手くそな写真ばかりですが、50枚ほど実写しましたのでご参照下さい。勿論、このレンズの持ち味は発揮できていないとは思いますが、スライドショーにしてみました。

出品するレンズ機種

Pentax Super-Multi-Coated Takumar 200mm F4
Pentax Super-Multi-Coated Takumar 200mm F4
機種名出品するレンズ機種
シリアルNO7461870
付属品前後キャップ、フード
出品先ヤフオク

整備後に出品

外観及びフォーカス調整機構の駆動系は全く問題ありません。絞り羽ユニット機構は、絞りに向かう方向時動きにムラがあります。カビ等の光学系付着物が確認できましたので、レンズ鏡胴内部に組み込まれている全ての硝子部位表面に付着していた埃・カビ全て除去しました。レンズ全体としてのクリアー度は復元しています。スカッと抜ける様なレンズに復元しました。付属品のフードは、Takumar 135mm F2.5 若しくは200mm F4 専用です。前後キャップ共に純正品です。

Pentax Super-Multi-Coated Takumar 200mm F4 付属品
Pentax Super-Multi-Coated Takumar 200mm F4 付属品

このレンズの出品時の状態

駆動系及び光学系及び外観に関して、それぞれ出品に際しての状態を解説します。

①外観

落下等による凹みはありません。経年使用下のすれも殆どなく、気になる傷もありません。この年代の個体としては、かなり綺麗な方なのではないかと思います。ヤフオクの出品写真をご参照下さい。この個体の入手経緯は不確かですが、かなり大切に所有・保管されてきたものと推測致します。

②光学系付着物

出品に際し、レンズ鏡胴内部に組み込まれている全ての硝子玉表面に付着していた埃・カビ除去処置施しましたので、出品時付着物はございません。スカッと抜ける様な眩しいレンズに蘇りました。カビ除去後の腐蝕痕も殆ど残らないで、復元状態は上々と判断します。実際に撮影した風景写真からもご確認下さい。

③フォーカス調整機構

至近距離指標から無限遠指標まで、全領域でスムースに駆動しています。そのトルク感も丁度良い感じと診断します。

④絞り羽ユニット機構

解放値F4~絞り値F22まで全領域で、調整ダイヤルそのものはスムースに駆動しています。そのクリック感も丁度いいと感じます。只、【Auto】⇔【Man】 切替レバーと、カメラ装着時Auto有効ボタン、【Auto】⇔【Man】ロック解除ボタンの駆動伝達部位の微妙な位置関係で、絞る方向に向かう際、引っ掛かる時がありますが、全領域にて駆動します。50枚くらい実写してみましたが、調整ダイヤルで調整する際には問題は感じませんでした。

⑤マウント規格形状

このレンズは、スクリュータイプマウントの単焦点レンズですので、そのマウントはM42規格のマウントになります。下記写真の様なマウントを介してデジカメ等でお使い下さい。

Pentax Super-Multi-Coated Takumar 200mm F4 アダプター
Pentax Super-Multi-Coated Takumar 200mm F4 アダプター

この様な状態のレンズになります。この機種をお探しの写真家の方がいらっしゃいましたら、上記解説をお読みになった上でご検討下さいます様お願い申し上げます。

kensuke tasai と申します。 光学機器の修理を主たる業務としております。 関連コンテンツも並行して配信させて頂いておりますので、リクエストございましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。