今回お預かり致しました、鏡による反射式の光学系を採用した望遠レンズの事を、レフレックスレンズ=ミラーレンズと呼びます。通常の望遠レンズは、あまりそう呼ぶ人はいませんが、比較の意味では屈折式望遠レンズといいます。通常の望遠レンズの場合、レンズ自体の長さも重量も相当に長く重いので、気楽に持ち運びができる望遠レンズのニーズに応える為に開発されたのではないかと思います。このレフレックスレンズは、光束が鏡筒内で一往復半してカメラ撮像素子に届く仕組みになっている為、鏡筒全長が極端に短くでき、通常の屈折式望遠レンズに比べ、大幅なコンパクト化を可能にしました。
もう少し具体的に、そのメカニズムを図を見ながら解説すると、光学系に2枚の反射鏡を用いた構造で、対物レンズから入った光束は後部に配置した反射鏡=主鏡に反射後、更に対物レンズ裏面中央にある凸面鏡=副鏡に反射した後、屈折式光学系を経て像を結ぶ構造になっています。
レンズの特性上、解放F値は固定なので、絞り羽ユニット機構は組み込まれていません。修理依頼内容の殆どは、カビの除去になります、取り外す硝子部位は一枚ですから、構造の理解と、必要な治具溶剤があればどなたでも整備する事が可能な機種です。屈折式光学系収差補正レンズに付着物がある個体は稀です。
Minolta RF Rokkor 250mm F5.6の様な機種の場合は、39mmネジ式マウントフイルターが組み込まれていますので、こういう構造の機種は、この硝子部位くらいはご自身で時々洗浄してあげて下さい。構造上、固定解放F値=8仕様ですから、カビの様な光学系付着物が付着すると、その本来の明るさがもっと暗くなってしまいます。
又、この様な機種を新たに入手しようと思った時は、圧倒的にサードパーティー製レンズが多いので、ご自身で愛用しているカメラ本体のマウント形状規格に合ったレンズかどうか確認して下さい。サードパーティー製レンズと呼ばれるものは、それぞれのカメラのマウントに合ったレンズを開発している第三者的=サードパーティーなメーカーのレンズを意味し、レンズメーカーが製造している場合が大半で、SigmaやTamronやTokina等がサードパーティー製レンズとしては有名かと思います。
レンズ検査ご依頼までの流れ(経緯)
今回のご依頼はメールにて受け付けましたので、その内容を簡潔にまとめました。
ご依頼者様から頂いたメール
父親が昔愛用していたレンズなのですが、カビだらけの状態です。カメラに付けて撮影してみたのでが、写真は撮れました。背景のぼけも面白く、気軽に持ち運べるサイズなので、これから頻繁に使っていこうと思っています。15,000円くらいで大丈夫そうでしたら、是非修理して下さい。お願い申し上げます。
今回お預かり致しました機種
機種名 | Sigma Mirror Telephoto 600mm F8 |
シリアルNO | 1002621 |
付属品 | 前後キャップ、専用ケース |
課題(所有者さん見解) | 綺麗にして欲しい |
ご希望予算 | 15,000円くらい |
整備報告
レンズ鏡胴内部鏡面=主鏡・副鏡及び硝子玉表面に付着していたカビ除去しました。屈折式光学系収差補正レンズには、付着物はありませんでした。カビの種類は主に点カビと雲状カビでした。レンズ全体としての光学的なクリアー度は復元しています。只、点カビの一部が腐食カビで、除去後の腐食カビ痕が若干ですが残ります。又、お電話にてもお伝え致しましたが、鏡面剥がれが一部ですが進行しています。この症状は付着物ではないので除去できません。
又、鏡面筒の2か所の傷が気になりますが、この傷は修理の範疇では解決できません。遜色のない同規格部位交換を要します。この様な諸々の症状ご了承お願い致します。フォーカス調整機構駆動系、外観共に状態の良いレンズです。未使用期間が長期化しない様ご留意頂きまして、今後も大切にご所有下さい。尚、ご自身で整備なさりたい場合は、お知らせ下さい。リモートで手順等お伝えできると思います。
納品に関しまして
※お願い・・・銀行お振込み頂きましたら、その旨メールにてお知らせ頂けますと幸いでございます。確認後速やかに納品させて頂きます。
発送方法 | クロネコ発払い便 |
送り状NO | 別途メールにて報告 |
配送状況 | お荷物追跡システム |
ご決済に関しまして
整備費 | 15,000円(税込) |
クロネコさん送料 | 神奈川県(一律)=930円(税込) |
決済方法 | 銀行振り込み |
合計 | 15,930円 |
お願い | ご決済後メールにてお知らせ下さい |
お振込み先銀行
・みずほ銀行
・五香支店
・口座名義 一般社団法人 日本レンズ協会
・普通口座
・口座番号 1715154
ご縁ございましたら、今後もお付き合い・ご指導宜しくお願い申し上げます。
(一社)日本レンズ協会 代表理事 田斉 健輔