Yashica AUTO Yashinon 5.5cm F1.8 検査報告書

絞り羽ユニット機構の支障は、復元後同じ様な症状になってしまう傾向があります

絞り羽ユニット機構(駆動系)の復元処置は、現段階では課題解決していますが、この様な傾向にある個体は、納品後の動作安定感は個体差があります。もし、動作が緩慢になってきた際には、ご自宅でできる簡易的な処置方法をお伝え致しますので、ご協力ください。所有者さんとこちらの二人三脚で状態維持を保っていきたいと思います。尚、簡易的な手順は至って簡単ですので、動きを保つ為にも、是非頻繁にレンズを使用し続けて下さい。

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頂いたメール

Yashica AUTO Yashinon 5.5cm F1.8というレンズを持っていますが、1.レンズ内のカビ発生と塵混入2.オートでの絞り機能せずの状態です。修理をお願い致します。

お返事メール

お問い合わせありがとうございます。一般社団法人 日本レンズ協会 代表理事 田斉と申します。

光学系付着物除去は可能と推測いたします。絞り羽ユニット機構の不具合に関しましては、こちらで復元処置を施した後、再び同じ様な症状になってしまう事があります。

その際、ご自宅でできる簡易的な整備方法を動画等でお伝えしますので、ご協力して頂ける様でしたら、ご検討下さい。

頂いたメール

お返事ありがとうございます。料金と時間を教えて頂けますでしょうか?お願い致します。

お返事メール

過去の修理記録台帳を紐解きますと、同機種にて12,000円(税込)くらいかかっております。

納期に関しましては、概ね10日間くらいお時間を頂いております。

(一社)日本レンズ協会 代表理事 田斉

Yashica AUTO Yashinon 5.5cm F1.8 付属品
Yashica AUTO Yashinon 5.5cm F1.8 付属品
付属品前後キャップ
シリアルNO535943
納期3日間
整備費用12,000円(税込)

解説

検査致しました。鏡胴内部全てのレンズ表面に付着していた、カビ、埃除去処置施しました。レンズ全体としての光学的なクリアー度は復元しています。お電話にてもお伝え致しましたが、カビ除去後の腐蝕痕が随所に残ります。

後玉表面の腐蝕痕が、この固体の場合はかなり特徴があります。アメーバ―型の白濁した腐蝕痕が二か所で、少し、表面積が大きく残ります。それ以外のレンズ表面の腐蝕痕は極々微小な点の様に目には映ると思います。

又、レンズが綺麗になった分、レンズ外周に元々あった、すれ傷も目立ちます。この点、ご了承お願い致します。処置後、鏡胴を通過してカメラ本体に届く、光の総量=光束量はかなり復元しています。

絞り羽ユニット機構に関しましては、解説補足動画の様に、その動作は現時点では、復元していますが、その動きの安定感は個体差がありますので、動きに支障が出てきましたら、その都度お気軽にお問い合わせください。所有者さんとこちらの二人三脚で状態を維持していきたいと思いますのでご協力お願い致します。

作業工程参考写真

Yashica AUTO Yashinon 5.5cm F1.8 レンズユニット
Yashica AUTO Yashinon 5.5cm F1.8 レンズユニット
Yashica AUTO Yashinon 5.5cm F1.8 開放時
Yashica AUTO Yashinon 5.5cm F1.8 開放時
Yashica AUTO Yashinon 5.5cm F1.8 絞り時
Yashica AUTO Yashinon 5.5cm F1.8 絞り時
Yashica AUTO Yashinon 5.5cm F1.8 埃とカビ
Yashica AUTO Yashinon 5.5cm F1.8 埃とカビ
Yashica AUTO Yashinon 5.5cm F1.8 埃と天カビと擦れ傷
Yashica AUTO Yashinon 5.5cm F1.8 埃と天カビと擦れ傷
Yashica AUTO Yashinon 5.5cm F1.8 レンズの痛み
Yashica AUTO Yashinon 5.5cm F1.8 レンズの痛み
Yashica AUTO Yashinon 5.5cm F1.8 絞り羽ユニット機構復元解説動画

処置後の所感

絞り羽ユニット機構(駆動系)の支障の主な原因は、フォーカス調整機構螺旋状部に塗られているグリスにあります。レンズ鏡胴内部という狭い空間に、この二つの機構が組み込まれているのですが、絞り羽ユニット機構=乾いた状態がベストなのに対して、フォーカス調整機構=濡れた状態を良しとする、真逆の特徴を持っています。

個人的には、この二つの機構が隣接する構造そのものに問題があると感じていますが、フォーカス調整機構のグリスが、絞り羽ユニット機構に流れ落ちてきやすい傾向の機種があります。殆どの原因はこのグリス(油分)の付着ですので、油を含んだ汚れを除去すれば、絞り羽の動きは復元しますが、この様な傾向にある個体は、再度同じ様な症状になってしまう事があります。

その際は、ご自宅でできる簡易的な方法をお伝えしておりますので、是非ご協力お願い致します。

kensuke tasai と申します。 光学機器の修理を主たる業務としております。 関連コンテンツも並行して配信させて頂いておりますので、リクエストございましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。