ヤシカは1968年に富岡光学を子会社化、1974年にカールツァイスと提携、1975年に事実上の経営破綻、1983年に京セラの子会社化という歴史をたどっているレンズメーカーです。富岡光学では1972年からカールツァイスブランドの製造を開始しており、このYashica ML 35mm F2.8以外にもYASHICA ML 28mm F2.8も富岡光学製と言われています。当然この時期のモデルにはツァイスブランドの製造技術が投入されていてDistagonと比較されるようになったという経緯をもつ機種になります。整備の分野からの所見になりますが、この機種はレンズ鏡胴内部に合成レンズが組み込まれていて、この部位の貼り合わせ面が白濁してしまう個体が散見されます。二枚の硝子玉の貼り合わせに使用されている天然樹脂素材流動性粘着物自体の劣化の進行が原因です。修理手順としては、絞り羽ユニット機構を挟んで、対物側、カメラマウント側両方向からのアクセスが可能な構造ですので、この機種の構造を知り、整備手順を取得すれば類似機種への応用が効きます。昔、Amazom Kindleさんでこの機種に関する電子書籍を出版しましたが、このWebサイトに整備手順解説動画をUPしておきますので、こちらを閲覧して学習して下さい。
レンズ検査ご依頼までの流れ(経緯)
今回のご依頼はメールにて受け付けましたので、その内容を簡潔にまとめました。
Tamron SP Tele Macro 500mm F8同様、フィルム時代から使っていたレンズを、デジタルカメラで使えないかと思い、久しぶりに引っ張り出してみたところ、見事にカビが生えていました。実写はしていませんが、気持ち悪いので綺麗にして下さい。完全に復元しなくても構いません。綺麗になったら、今度は放置しないで、時々使っていこうと思っています。
できれば自分でも整備できる様になりたいので、可能でしたら整備方法も教えて下さい。お願い致します。
機種名 | Yashica ML 35mm F2.8 |
シリアルNO | A1305235 |
付属品 | 前後キャップ、フィルター |
課題(所有者さん見解) | 久しぶりに引っ張り出してみたところ、 見事にカビが生えていました |
修理報告
レンズ鏡胴内部光学系付着物全て除去処置施しました。レンズ全体としての光学的なクリアー度は復元しています。カビの種類は主に点カビでした。この機種は鏡胴内部に合成レンズが組み込まれているのですが、その張り合わせ面にて白濁現象が進行しています。2枚のガラス玉を張り合わせる際に使用する天然樹脂素材流動性粘着物自体の劣化が原因です。この症状は付着物ではないので除去できません。この点ご了承下さい。駆動系・外観共に大変状態の良い個体です。今まで同様大切にご所有下さい。お願い致します。整備工程中に撮影した写真何枚かUPしておきますので、併せてご参照下さい。又、整備工程解説動画お時間ございます時に学習して下さい。この機種はオールドレンズの基本的な構造を理解するのに適していますので、必要な治具溶剤が揃えられれば似た様な構造の機種にも応用が効きます。又、このコンテンツは当協会主催のレンズ修理教室の生徒さんとも内容を共有させて頂きます。
これが合成レンズ貼り合わせ面白濁です
修理工程解説補足動画
納品に関しまして
※お願い・・・銀行お振込み頂きましたら、その旨メールにてお知らせ頂けますと幸いでございます。確認後速やかに納品させて頂きます。
発送方法 | クロネコ着払い便 |
送り状NO | 別途メールにて報告 |
配送状況 | お荷物追跡システム |
ご決済に関しまして
整備費 | 8,000円(税込) |
コンテンツ作成費 | 10,000円(税込) |
決済方法 | 銀行振り込み |
お願い | ご決済後メールにてお知らせ下さい |
お振込み先銀行
・みずほ銀行
・五香支店
・口座名義 一般社団法人 日本レンズ協会
・普通口座
・口座番号 1715154
ご縁ございましたら、今後もお付き合い・ご指導宜しくお願い申し上げます。
(一社)日本レンズ協会 代表理事 田斉 健輔