3енитар-M 50mm F1.7 修理記録

3енитар-M 50mm F1.7

旧ソ連製のレンズになりますが、日本ではゼニター=Zenitarと呼ばれる事が多い様ですが、この機種の正式名称は3енитар-M 50mm F1.7です。構造自体は、M42マウント規格機種に似ていて、特に特徴はありません。今回お預かり致しました個体は、フォーカス調整機構の全ての関連部位に経年の汚れが付着していたのが原因で、トルク感が大変重く感じられる症状でした。

又、光学系付着物も全ての硝子玉部位に付着していました。フォーカス調整ダイヤル指標帯部位の、塗装剥がれに関しましては、所有者さんご自身の処置にて、少しずつ剥がして頂く様お願い申し上げます。トルク感及び光学系付着物に関しましては、修理の範疇にてでき得る処置は全て施しました。

レンズ検査ご依頼までの流れ(経緯)

今回のご依頼はメールにて受け付けましたので、その内容を簡潔にまとめました。

メールにてのお問い合わせ

ゼニター 50/1.7のオーバーホールをお願いしたいです。ヘリコイドがジャリっとした感覚でひっかかる。無限が出なくなった。外装の塗装がポロポロ取れてくるので可能であれば除去したい。修理費6000円くらいにてレンズオーバーホールとのこと了解しました。おそらく分解する?と思われますので、中に入ってしまっているごみも飛ばしていただけますと幸いです。

3енитар-M 50mm F1.7 付属品
3енитар-M 50mm F1.7 付属品
機種名3енитар-M 50mm F1.7
シリアルNO860734
付属品前後キャップ
課題(所有者さん見解)トルク感・無限遠・塗装剥がれ・付着物

修理報告

フォーカス調整機構トルク感に関しましては、関連伝達部位及び螺旋状部に付着していた汚れ除去致しましたので、その駆動は若干ですが、処置前に比べると軽めに復元しています。「ジャリジャリとした音」というのは、粒子の大きい汚れが螺旋状部位金属を削っている際に発生した音だと思います。処置後は「シャワシャワとして音」に変化していますが、この音は、螺旋状部二つの金属の間に発生していた隙間から空気が漏れている音になります。このトルク感の復元が、修理の範疇では限界です。特に、無限遠指標に近づくに伴って、螺旋状部金属同士が重なる表面積が大きくなるので、元々の歪みも影響して重くなってしまいます。

3енитар-M 50mm F1.7 無限遠指標
3енитар-M 50mm F1.7 無限遠指標

尚、無限遠に関しましては、こちらでの検査キッドでは異常ありません。ご愛用のカメラ及びアダプター等の組み合わせによる検証は、ご自身にてお願い申し上げます。光学系付着物は全て除去致しました。現状付着物はありません。付着していた点カビの一部が腐蝕カビで、除去後の腐蝕痕が残ります。外装塗装剥がれに関しましては、申し訳けございませんが、ご自身にて処置して頂きます様お願い申し上げます。今まで同様今後も大切にご所有下さい。

納品に関しまして

ご要望に従いまして、玄関先での代引き(クロネココレクト便)にて発送致します。

発送方法クロネコ着払い便
送り状NO別途メールにて報告
配送状況お荷物追跡システム

ご決済に関しまして

整備費6,000円(税込)
決済方法代引き(クロネココレクト)
代引き手数料330円(内消費税30円)
送料(一律)750円(税込)
合計7,080円
クロネコさん宅急便コレクトシステム

ご縁ございましたら、今後もお付き合い・ご指導宜しくお願い申し上げます。
(一社)日本レンズ協会 代表理事 田斉 健輔

kensuke tasai と申します。 光学機器の修理を主たる業務としております。 関連コンテンツも並行して配信させて頂いておりますので、リクエストございましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。