何故レンズにカビが付着するのか?
この機種も毎月の様に修理のお問い合わせがある人気の機種です。共通する主な症状はやはりカビの付着です。ご依頼者さんの共通点は、レンズを長期間使用していなかったという、放置期間の長期化が原因です。特に、この機種の様な中判レンズは、頻繁には出番はないかもしれませんが、何だかの理由で、撮影しない期間があっても、その際は時々手に取っていじってあげて下さい。レンズ鏡胴内部に空気の流れが発生して、カビの繁殖を防いでくれます。
頂いたメール
初めまして。○○と申します。初めてメールします。友人からレンズを譲って頂いたのですが、MAMIYA7 の80ミリのレンズのカビが気になります。修理などお願いできますでしょうか。もし綺麗になる様でしたらお願いします。それと、期間と値段を知りたいです。お願いします。
お返事メール
お問い合わせありがとうございます。一般社団法人 代表理事 田斉健輔と申します。実際に個体を初見してみないと、課題解決の確約はできませんが、光学系付着物除去は可能と推測致します。
・納期に関しましては、概ね10日間程お時間を頂いております。
・整備費用は、過去の修理記録台帳を紐解きますと、同機種にて7,500円くらいかかっております。
当協会で宜しければご検討下さい。
頂いたメール
お返事ありがとうございます。それでは、レンズを送付致します。宜しくお願い致します。
お返事メール
レンズ発送の件承知致しました。到着致しましたら、その旨メールにてご連絡致します。ご依頼品がこちらに到着順に順次開封・初見させて頂いております。順番になりまして、開封・初見後その検査結果をこちらからご連絡致します。その内容は個別にメール若しくはお電話にてご報告させて頂いております。ご都合の良いお電話番号、時間帯等ございましたら予め教えておいて頂けますと幸いでございます。
☎047-386-5353(協会固定)
☎090-9829-0696(田斉携帯)
お電話の場合はどちらかの番号にて着信が入ると思います。その節は宜しくお願い致します。納期に関しましては概ね10日間くらいお時間を頂いております。
一般社団法人 日本レンズ協会 田斉
付属品 | 前後キャップ |
シリアルNO | AI1072 |
課題 | カビの除去 |
納期 | 5日間 |
整備費用 | 7,500円(税込) |
解説
検査致しました。鏡胴内部全てのレンズ表面に付着していたカビ、全て除去処置施しました。カビの種類は、主に点カビと菌糸状カビでした。除去後の、光学的なクリアー度は復元しています。
只、付着していたカビの一部が腐蝕カビで、除去後の腐蝕痕が残ります。特に、レンズ外周の点カビの腐蝕痕が目立ちます。又、前後玉共に、かなり擦れ傷がありますが、カビが付着していた状態では、さほど目立ちませんでしたが、レンズが綺麗になった分、この症状が気になってくるとは思いますが、この点ご了承お願い致します。
外観、駆動系共に状態の良いレンズです。今まで同様大切にご所有下さい。お願い致します。
作業工程参考写真
処置後の所感
この機種に限らず、カビ等光学系付着物で悩んでいる写真愛好家の方が多いのが実情ですが、そもそもレンズ鏡胴内部ガラス玉には、カビの栄養源となる様な要素はありません。レンズ鏡胴内部には、フォーカス調整機構螺旋状部にグリスが添付されていて、その油分がカビの繁殖要素になります。この部位に付着した各種カビが、レンズ鏡胴内部で浮遊して、ガラス玉表面に付着します。なので、レンズ鏡胴内部のガラス玉表面にカビが付着している症状は、かなり手遅れな症状と個人的には捉えています。フォーカス調整機構螺旋状部に発生したカビは、目視できませんが、ガラス玉表面に付着した段階で、初めてカビの付着に気づき、慌ててお問い合わせ頂く・・・といった流れが多いです。レンズは、撮影の為の大切な道具です。未試用期間が長期化するのが、光学系付着物の一番の原因です。レンズを時々手に取って、レンズ鏡胴内部に空気の流れを作ってあげて下さい。絞りを解放にして、レンズ鏡胴内部に自然光を入れてあげるのもカビの付着防止策として有効です。