今回お預かり致しましたNikon PC-Nikkor 35mm F2.8の様なレンズは、一般的にはシフトレンズと呼ばれています。元々は、大判、中判カメラで行っていたチルト、ティルト、シフトといったアオリ撮影の作業をシフトレンズのみで行うことができる特殊なレンズです。私は、写真家ではないので、主に料理写真の撮影を専門にしている、普段から懇意にしている写真家の方から学びました。この機種の銘柄として刻印されているPC=Perspective Controlは、 Perspective=パースペクティブをControl=コントロールするレンズという意味合いになります。
Perspectiveとは、遠近感の事を指す英語になります。通常、目の前の被写体全体を撮影する際は、広角レンズを使いますが、全体が映る際、遠くのものが湾曲してしまいます。そういうシーンでこのレンズは使われていたそうです。又、テーブル上の幾つかの物の中で、特に何かある商品だけにピントを合わせる事の可能なレンズになります。レンズの構造自体は、修理可能な造りになっていますので、硝子部位に付着したカビの様な付着物の除去は可能なケースが多いです。一般的な単焦点レンズと比べると、駆動領域が広い為、外部からの埃等の侵入が多いのも特徴になります。
レンズ検査ご依頼までの流れ(経緯)
今回のご依頼はメールにて受け付けましたので、その内容を簡潔にまとめました。
ご依頼者様から頂いたメール
初めまして。仕事で建築関係の写真を撮っているのですが、使っているレンズのカビや埃を取り除いて頂きたくメールしました。レンズは、Nikon PC-Nikkor 35mm F2.8という機種になります。予算は、15,000円(税込)くらいに収まると有り難いです。できましたら、一週間くらいで整備してもらえると助かります。宜しくお願い申し上げます。
今回お預かり致しました機種
機種名 | Nikon PC-NIkkor 35mm F2.8 |
シリアルNO | 201049 |
付属品 | リヤキャップ、フイルター |
課題(所有者さん見解) | レンズを綺麗にして欲しい |
ご希望予算 | 15,000円(税込)くらい |
整備報告
レンズ鏡胴内部全てのレンズ表面に付着していた、埃・カビ除去しました。レンズ全体としての光学的なクリアー度は復元しています。カビの種類は、点カビ、菌糸状カビ、雲状カビでした。付着面は主に、絞り羽ユニット機構よりリヤ側のレンズ表面に集中していました。付着していた点カビと雲状カビが腐食カビで、除去後の腐食痕が随所に残ります。ご了承下さい。絞り羽ユニット機構、フォーカス調整機構共に問題ありません。今後も大切にご所有下さい。このタイプのレンズは、駆動部位がひとつ多く、その関係で外部からの埃等が侵入しやすい構造になっております。儀自身におかれましても、でき得る範囲で結構ですので、日常のマメな清掃をお願い致します。
特に汚れが酷かった部位
処置前付着物参考写真一例
綺麗に復元した硝子部位一例
納品に関しまして
今回は初めてのお付き合いになりますので、ほんのお気持ちですが、こちらからの送料は当協会で負担させて頂きます。
※お願い・・・銀行お振込み頂きましたら、その旨メールにてお知らせ頂けますと幸いでございます。確認後速やかに納品させて頂きます。
発送方法 | クロネコ発払い便 |
送り状NO | 別途メールにて報告 |
配送状況 | お荷物追跡システム |
ご決済に関しまして
整備費 | 15,000円(税込) |
クロネコさん送料 | 片道づつ相互負担 |
決済方法 | 銀行振り込み |
合計 | 15,000円 |
お願い | ご決済後メールにてお知らせ下さい |
お振込み先銀行
・みずほ銀行
・五香支店
・口座名義 一般社団法人 日本レンズ協会
・普通口座
・口座番号 1715154
ご縁ございましたら、今後もお付き合い・ご指導宜しくお願い申し上げます。
(一社)日本レンズ協会 代表理事 田斉 健輔