Minoltaというメーカーは、光学機器の分野において、技術面でも海外進出面でも先駆者的な存在でした。1950年代、アメリカに現地法人ミノルタコーポレーションを設立し、カメラ輸出の基盤を固め、アメリカのカメラショーでいくつかのフイルムカメラを展示し、日本製のカメラが注目を浴びるきっかけを作りました。中でも、35mmレンズシャッター=ミノルタAや、二眼レフ=ミノルタオートコードが特に好評化を受けていたそうです。
Rokkor=緑のレンズ
Minoltaは、カメラ用レンズに世界で初めて多層膜コーティング=アクロマチックコーティングを施し、それをカメラにも組み込みました。世にいう緑のレンズ= Rokkorの誕生です。このコーティング技術により、カラーの再現性が飛躍的に向上し、自然色を忠実に再現する事に成功しました。こんな背景をもつMinolta Auto Rokkor-PF 58mm F1.4というレンズは、1961年に販売が開始されました。
後継機種レンズとして1966年には、 Minolta MC Rokkor-PF 58mm F1.4 もリリースされています。戦時中は軍事技術としてトップシークレットだったコーティング技術も、戦後は様々な光学機器商品に使われるようになったのですが、アクロマチックコーティングもその技術の一つといわれています。
時々、コーテイングを剥がしてしまったというお問い合わせを頂く事がありますが、もしもご自身で整備する場合は、使用するクリーニング溶剤にもよりますが、注意が必要です。慣れてくるとすぐに解るのですが、本来はこの写真の様にとても美しい輝きを放っている硝子部位です。対物側F1レンズ裏面に蒸着加工されているケースが圧倒的に多いのですが、再コーテイングは当協会の技術レベルでは難しいです。
レンズ検査ご依頼までの流れ(経緯)
今回のご依頼はメールにて受け付けましたので、その内容を簡潔にまとめました。
ご依頼者様から頂いたメール
いつもお世話になります。また、オークション落札時におけるアドバイスもありがとうございました。Auto Rokkor-PF 58mm F1.4はズーット気になっていたレンズなので嬉しいです。早速ですが、出品者から直接協会さん宛にレンズが届く手はずが整いましたので、メールにてお伝えさせて頂きました。全体的に見て頂きまして、必要な整備をお願い致します。
今回お預かり致しました機種
機種名 | Minolta Auto-Rokkor PF 58mm F1.4 |
シリアルNO | 1275397 |
付属品 | フロントキャップ |
課題(所有者さん見解) | 全体的な検査 |
ご希望予算 | 15,000円くらい |
整備報告
お電話にてもお伝え致しましたが、フォーカス調整機構螺旋状部に深い歪みがあります。付着していた汚れは除去しましたが、根本的な処置にはなっていません。螺旋状部の軌道の完全な修正は、この個体の状況から難しいと判断致しました。この点、ご了承下さい。光学系付着物除去に関しましては、鏡胴内部全てのレンズ表面に付着していた埃・カビ除去しました。レンズ全体としての光学的なクリアー度は復元しています。付着していたカビは、主に点カビと雲状カビでした。
一部レンズ外周に、除去後の腐食カビ痕が残ります。又、レンズに数か所の傷があります。レンズが綺麗に復元した分、この様な症状が目立ちます。ご了承お願い致します。尚、整備工程にて撮影した数枚の写真下記にUPしておきますので、併せてご参照下さい。出品者の商品説明が、フォーカス調整機構に関しましてはかなり症状が異なっていましたが、修理の範疇にてでき得る処置は全て施しました。今後も撮影の友として末永くご所有下さい。
参考写真
納品に関しまして
※お願い・・・銀行お振込み頂きましたら、その旨メールにてお知らせ頂けますと幸いでございます。確認後速やかに納品させて頂きます。
発送方法 | クロネコ発払い便 |
送り状NO | 別途メールにて報告 |
配送状況 | お荷物追跡システム |
ご決済に関しまして
整備費 | 12,000円(税込) |
クロネコさん送料 | 埼玉県(一律)=930円(税込) |
決済方法 | 銀行振り込み |
合計 | 12,930円 |
お願い | ご決済後メールにてお知らせ下さい |
お振込み先銀行
・みずほ銀行
・五香支店
・口座名義 一般社団法人 日本レンズ協会
・普通口座
・口座番号 1715154
ご縁ございましたら、今後もお付き合い・ご指導宜しくお願い申し上げます。
(一社)日本レンズ協会 代表理事 田斉 健輔