フレクトゴン(Flektogon)は旧東ドイツの人民公社カールツァイス・イエナ(VEB Carl Zeiss Jena)社が一眼レフカメラ用に開発した広角レトロフォーカス型レンズのブランドで、その第一弾として1952年に焦点距離35mm広角レンズが登場し、黎明期のレトロフォーカス型レンズの中においてコマ収差を有効に補正できる唯一無二の存在として世界中で注目された事はあまりにも有名な話です。この広角レトロフォーカス型レンズのフレクトゴン 35mmを世に送り出し、この分野を独走していた人民公社カールツァイス・イエナが次に取り組んだのは、焦点距離の更に短い超広角レンズの開発で、それがこの焦点距離を25mmまで短縮させたフレクトゴン25mm F4というレンズの誕生になりました。当時旭光学という光学機器メーカーに勤務していた先々代の祖父から聞いた話を今でも覚えています。
レンズ検査ご依頼までの流れ(経緯)
今回のご依頼はメールにて受け付けましたので、その内容を簡潔にまとめました。
Carl Zeiss Jena Flektogon 25mm/F4 M42-mount
レンズ内部にカビ・チリがあり除去をお願いしたいです。
また可能であれば外観ピントリング(ゼブラ部分)のパーツがないため万が一パーツがあれば付けていただけると幸いです。以上お受けいただくことはできますでしょうか?
よろしくお願い致します。
機種名 | Carl Zeiss Jena Flektogon 25mm F4 |
シリアルNO | 6771330 |
付属品 | 前後キャップ |
課題(所有者さん見解) | 光学系付着物除去と調整ダイヤルグリップラバー張り替え |
修理報告
レンズ鏡胴内部に組み込まれている全てのガラス玉表面に付着していた埃・カビ除去処置施しました。レンズ全体としての光学的なクリアー度はかなり復元しています。対物側から入ってきた光がカメラ本体素子に辿り着く総量=光束総量を新品時=100とすると、処置前の値が65だったのに対し、処置後は85までに復元しています。只、カビの付着期間が長期化していた為、一部部位に付着していたカビが腐蝕カビで、カビそのものは全て除去できていますが、除去後の腐蝕痕がこの部位(主にレンズ外周側3分の一のエリア)に残ります。レンズが綺麗になった分、この症状が目立ちます。この腐蝕痕は実写に際しての影響は少ないと言われていますが、この点ご了承お願い致します。同時に、今回の付着物除去処置が所有者さんご愛用のカメラで実写した際の改善度に関しましては、こちらで比較ができません事も併せてご了承お願い致します。ご入手された時には既に欠損していたというフォーカス調整ダイヤルグリップラバーに関しましては、正規の同規格部位が長さが足りませんでしたので、機能的には遜色のない他のラバーにて転用致しました。デザイン的な問題と細かな技術的な仕上がりに関しましても、当協会の専門外の所作になりますので、お電話にてお伝え致しましたがご了承下さい。外観及び駆動系も状態の良いレンズです。未試用期間が長期化しない様に、今まで同様大切にご所有下さい。作業中の幾つかの写真UPしておきますので、解説文章と併せてご参照下さい。
納品に関しまして
※お願い・・・銀行お振込み頂きましたら、その旨メールにてお知らせ頂けますと幸いでございます。確認後速やかに納品させて頂きます。
発送方法 | クロネコ着払い便 |
送り状NO | 別途メールにて記載 |
配送状況 | お荷物追跡システム |
ご決済に関しまして
整備費 | 13,000円(税込) |
決済方法 | 銀行振り込み |
お願い | ご決済後メールにてお知らせ下さい |
お振込み先銀行
・みずほ銀行
・五香支店
・口座名義 一般社団法人 日本レンズ協会
・普通口座
・口座番号 1715154
ご縁ございましたら、今後もお付き合い・ご指導宜しくお願い申し上げます。
(一社)日本レンズ協会 代表理事 田斉 健輔