Xenar Schneider-Kreuznach 5cm F3.5 修理記録

Xenar Schneider-Kreuznach 5cm F3.5

このレンズに関しては、修理依頼件数の経験値が少ない為、いつ製造された機種なのか?写真家にとってどの様な特徴があるレンズのか?等々、情報を入手=学習してきていないので、あまり知識がありません。只、修理という分野でのこのレンズの印象は、とても整備しやすい構造になっている事は確かです。今回、Xenar Schneider-Kreuznach 5cm F3.5という機種に対峙するに際し、いい機会なので、この機種に関しての基本的な事柄を、フリー百科事典・ウィキペディア=Wikipediaで調べてみました。

Schneider-Kreuznachは、シュナイダー・クロイツナッハと読み、ドイツのレンズメーカーです。メーカーとしての様々な遍歴を経て、現在は主にプロフェッショナル向けレンズを製造しています。Xenar とは、クセナーまたはクスナーと読み、Schneider-Kreuznachのレンズブランドでテッサー・タイプのレンズになります。

修理の分野での所見で、とても整備しやすい構造になっているというお話しをしましたが、一般的な沈胴式レンズは、レンズ鏡胴内部にアクセスする手順が少しややこしいのですが、この機種に関しては、あっけないくらい簡単にアクセスできる構造になっています。

今回のお問い合わせ段階で、構造上の説明をご依頼者様にお伝えし、ご自身で整備可能な旨お伝えしたのですが、一度こちらで整備してもらい、今後の所有の為に、こちらで整備した内容を動画でコンテンツ化して欲しい・・・という結果になりました。

整備に必要な治具・溶剤に関しても収録致しましたので、納品後、時間の経過とともに光学系硝子は少しづつ汚れていきますので、定期的にご自宅で整備してあげて下さい。レンズ鏡胴内部へのアクセス手順だけ、このレポートでは公開させて頂きます。

Xenar Schneider-Kreuznach 5cm F3.5 絞り時
Xenar Schneider-Kreuznach 5cm F3.5 絞り時

レンズ鏡胴の対物側に組み込まれた、複数枚の硝子玉で構成されているレンズユニットごと外す事ができます。そうすると、上記写真の様に、絞り羽ユニット機構が直接タッチできる状態になります。

Xenar Schneider-Kreuznach 5cm F3.5 コバ剥がれ
Xenar Schneider-Kreuznach 5cm F3.5 取り外したレンズユニット

レンズの特徴なのですが、カビ等光学系付着物は、主に絞り羽ユニット機構を挟んだ硝子玉部位表面に付着しやすい傾向がありますので、上記2枚の写真の様に、この二つの硝子玉表面をきれいにしてあげる事で、綺麗な状態を保つ事ができる様になります。

レンズ検査ご依頼までの流れ(経緯)

今回のご依頼はお電話にて受け付けましたので、その内容を簡潔にまとめました。

お電話にてのお問い合わせ

いつもお世話になります。今回は、沈胴式のスクリューマウントタイプのレンズを綺麗にして頂きたくお電話しました。少しづつ曇ってきている様で、この機会に綺麗にしたいと思っております。内部を覗くとカビの様な点々が増えてきている様に感じます。自分でも整備できる様になりたいので、納品時にそちらでの整備手順を動画で解説してもらえると助かります。宜しくお願い申し上げます。

Xenar Schneider-Kreuznach 5cm F3.5
Xenar Schneider-Kreuznach 5cm F3.5
機種名Xenar Schneider-Kreuznach 5cm F3.5
シリアルNO1506363
付属品特にナシ
課題(所有者さん見解)カビ等光学系付着物

修理報告

鏡胴内部全てのレンズ表面に付着していた埃・カビ除去しました。レンズ全体としての光学的なクリアー度は、付着物を除去した分復元しています。只、付着していた点カビが腐食カビで、除去後の腐食痕が該当レンズ外周に残ります。

又、レンズ表面に無数の擦れ傷があります。この様な復元状態ですので、今回の処置がどこまで実写に好影響をもたらすかはこちらでは確認できません。諸々の点、ご了承お願い致します。又、修理に関する手順コンテンツに関しましては、別途メールでご案内しましたバナーから、解説補足動画閲覧可能でございます。

Vimeoという動画収録アプリにてお時間ございます時に学習して下さい。又、この個体は一部硝子玉部位でコバ剥がれが進行していました。墨と硯と筆を使いこの問題は復元しておりますので、下記写真よりご確認下さい。全体的に状態の良いレンズです。今まで同様大切にご所有下さい。

今後ご自身で整備する時期が来ましたら、どんな内容の質問でも結構です。お気軽にお問い合わせ下さい。あまり予算をかけずに、こちらと二人三脚で良い状態を保っていきましょう。

参考写真

Xenar Schneider-Kreuznach 5cm F3.5 解放時
Xenar Schneider-Kreuznach 5cm F3.5 解放時
Xenar Schneider-Kreuznach 5cm F3.5 点カビとコバ剥がれ
Xenar Schneider-Kreuznach 5cm F3.5 点カビとコバ剥がれ
Xenar Schneider-Kreuznach 5cm F3.5 レンズユニット
Xenar Schneider-Kreuznach 5cm F3.5 レンズユニット

コバ剥がれに関して

レンズ鏡胴内部に、ある程度の厚みがある硝子部位が組み込まれている機種の場合、その厚みのある断面から光が乱反射しない様にする為に、その断面に和墨汁を塗る加工技術があります。この黒く塗られた断面の事を光学の世界ではコバと呼んでいます=端っこという意味です。この内容に関しましては、少し詳しく解説したレポートページがありますのでこちらで学習して下さい。

納品に関しまして

※お願い・・・銀行お振込み頂きましたら、その旨メールにてお知らせ頂けますと幸いでございます。確認後速やかに納品させて頂きます。

発送方法クロネコ着払い便
送り状NO別途メールにて報告
配送状況お荷物追跡システム

ご決済に関しまして

整備費12,000円(税込)
コンテンツ作成費10,000円(税込)
合計22,000円
決済方法銀行振り込み
お願いご決済後メールにてお知らせ下さい
お振込み先銀行

・みずほ銀行
・五香支店
・口座名義 一般社団法人 日本レンズ協会
・普通口座
・口座番号 1715154

山田 太郎の様にご記入下さい

ご縁ございましたら、今後もお付き合い・ご指導宜しくお願い申し上げます。
(一社)日本レンズ協会 代表理事 田斉 健輔

kensuke tasai と申します。 光学機器の修理を主たる業務としております。 関連コンテンツも並行して配信させて頂いておりますので、リクエストございましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。