FDマウントは、細かく分類するとキヤノマチックR、FL、FD、New FDの4世代に分けられます。今回お預かりしました機種が構造的には一番複雑なタイプになります。キヤノマチックRは、「R」や「キヤノマR」と呼ばれることもあり、FDマウントの元祖で、絞りリングがレンズの前方にあることが多いです。その次の世代がFLで、レンズの基本構成はキヤノマチックRと同じですが、自動絞り機能が付き、デザインもスリムになりました。その次の世代であるFDマウントでは、絞り値をレンズからボディへ伝えるレバーやピンが追加されこの世代の後半からズピゴット用リング以外の部分がブラックになりました。そして、4世代目のNew FDマウントは、ネックであったズピゴット式が改良され、デザインも現代的なものになりました。これらのレンズを使うためには、アダプターが必要になりますが、キヤノマチックRとFLは構造的にレンズの後ろが出ているので、対応不可のアダプターが多いので注意が必要です。時々お問い合わせを頂くのですが、オールドレンズ初心者の方には、FDまたはNew FDマウントのレンズを使うことを当協会では推奨しております。
レンズ検査ご依頼までの流れ(経緯)
今回のご依頼はメールにて受け付けましたので、その内容を簡潔にまとめました。
CANON FDレンズ修理依頼
1.NEW FD 50mm f1.4 レンズクリーニング 絞り、ピントリングはスムーズに動いています。レンズが汚れているのでクリーニングを希望します。
2.NEW FD50mmマクロf3.5 レンズクリーニング 絞り、ピントリングはスムーズに動いています。レンズが汚れているのでクリーニングを希望します。以前NIKKOR 28mmf3.5 2本を修理して頂きまして使用中です。
機種名 | Canon FD 50mm F1.4 付属品 |
シリアルNO | 3587484 |
付属品 | 前後キャップ、フィルター |
課題(所有者さん見解) | レンズが汚れているのでクリーニングを希望します。 |
修理報告
レンズ鏡胴内部全てのガラス玉表面に付着していた埃・カビ全て除去処置施しました。レンズ全体としての光学的なクリアー度は復元しています。付着していた主なカビの種類は、点カビと菌糸状カビでした。レンズが対物側から入ってきて、カメラ本体の素子に届く光の総量を新品時=100とすると、処置前はこの数値が35くらいでしたが、処置後は95くらいの数値までに復元しています。検査段階で、ガラス玉一部の表面がすれ傷ではない、円形状の異変が数か所発生していたのですが、処置後レンズが綺麗になったので、この症状が少し目立ちます。実写には影響はないと診断致します。また、同じく検査段階で、コーテイング加工が施されている一部部位の中心部がその加工が剥がれていましたが、同じNOのコーテイング再加工処置は在庫がなく、今回は施せませんでしたのでレンズが綺麗に復元した分、光学機器としてはやや明る過ぎる感があります。この症状が実写にどこまで影響するかはこちらで把握するのは難しいです。この点もご了承下さい。カビ除去後の腐蝕痕も比較的少なく、今回の整備は状態的には上々の部類に入るかと感じています。外観・駆動系も状態の良いレンズです。今まで同様今後も大切にご所有下さい。
整備前レンズ付着物写真
納品に関しまして
※お願い・・・銀行お振込み頂きましたら、その旨メールにてお知らせ頂けますと幸いでございます。確認後速やかに納品させて頂きます。
発送方法 | クロネコ着払い便 |
送り状NO | 別途メールにて記載 |
配送状況 | お荷物追跡システム |
ご決済に関しまして
整備費 | 7,500円(税込) |
決済方法 | 銀行振り込み |
お願い | ご決済後メールにてお知らせ下さい |
お振込み先銀行
・みずほ銀行
・五香支店
・口座名義 一般社団法人 日本レンズ協会
・普通口座
・口座番号 1715154
ご縁ございましたら、今後もお付き合い・ご指導宜しくお願い申し上げます。
(一社)日本レンズ協会 代表理事 田斉 健輔