Canon FD 50mm F1.4という機種は、似たようなスペックで、Canon New FD 50mm F1.4という少し新し目のモデルも存在します。写真家の視点からは比較できませんが、修理の分野から、この二つを比較した時、金属部位並びに光学系ガラス部位には大きな違いを感じます。Canon FD 50mm F1.4タイプは、金属系部位系にプラ素材がないので、修理可能なケースが多いです。一方、Canon New FD 50mm F1.4タイプは、プラ素材含有部位が用いられていて、固着時緩和溶剤を使うことが厳しいケースが多いです。
Canon Camera Museum:FD50mm F1.4 S.S.C. (II)、New FD50mm F1.4
プラ素材含有部位が用いられているレンズの欠点
私は撮影家ではないので、写りに関しての比較のコメントはできませんが、プラ素材含有部位が用いられているレンズに関しましては、どこかの部位が固着して、レンズ鏡胴内部へのアクセスが難しい場合、その固着を緩和する溶剤が使えません。その為、折角整備依頼を頂いているのに、現状のまま納品せざるを得ないケースがあります。今回お預かり致しました機種は、そのような懸念材料がなかった為、状態を復元する事ができました。
この機種に限らず、製造初期段階のモデルから、廉価版普及型に移行する際、プラ素材含有部位が採用される傾向が強く、写真家の方にとっては、軽量化されている点で、携帯性が向上している点ではメリットがある様ですが、修理の世界では、難易度が上がってしまいます。
レンズ検査ご依頼までの流れ(経緯)
今回のご依頼はメールにて受け付けましたので、その内容を簡潔にまとめました。
ご依頼者様から頂いたメール
いつもお世話になっております。前々から、Canonの普及型モデルは、修理しにくいというお話しでしたが、Canon FD 50mm F1.4 SSCというタイプは如何でしょうか?カビも沢山生えていて、絞り羽も動きが緩慢です。もし大丈夫な様でしたらすぐにでも送らせて頂きたいと思います。予算は15,000円くらいでお願いできれば嬉しいです。ご検討宜しくお願い致します。
今回お預かり致しました機種
機種名 | Canon FD 50mm F1.4 SSC |
シリアルNO | 948024 |
付属品 | 前後キャップ |
課題(所有者さん見解) | 絞り羽根とカビ |
ご希望予算 | 15,000円 |
整備報告
レンズ鏡胴内部に組み込まれている、全ての硝子部位表面に付着していた埃・カビ等の光学系付着物除去致しました。レンズ全体としての光学的なクリアー度は復元しています。付着していたカビの種類は、主に点カビと菌糸状カビでした。カビそのものは全て除去できていますが、除去後の腐食痕が随所に残ります。この点、ご了承下さい。
除去前写真
特にこの硝子部位が汚れていました
この機種の特徴ですが、特に後玉表面の菌糸状カビの腐食痕がレンズ随所に残りレンズ全体が綺麗になった分大変目立ちます。次に、駆動系の課題に関してですが、絞り羽ユニット機構油分を含む汚れ除去しましたので、その動きは復元しております。
今回の整備にて、光学系も駆動系も復元しておりますので、未使用期間が長期化しない様ご留意して頂きまして、今まで同様今後も大切にご所有下さい。
納品に関しまして
※お願い・・・銀行お振込み頂きましたら、その旨メールにてお知らせ頂けますと幸いでございます。確認後速やかに納品させて頂きます。
発送方法 | クロネコ発払い便 |
送り状NO | 別途メールにて報告 |
配送状況 | お荷物追跡システム |
ご決済に関しまして
整備費 | 15,000円(税込) |
クロネコさん送料 | 栃木県(一律)=930円(税込) |
決済方法 | 銀行振り込み |
合計 | 15,930円 |
お願い | ご決済後メールにてお知らせ下さい |
お振込み先銀行
・みずほ銀行
・五香支店
・口座名義 一般社団法人 日本レンズ協会
・普通口座
・口座番号 1715154
ご縁ございましたら、今後もお付き合い・ご指導宜しくお願い申し上げます。
(一社)日本レンズ協会 代表理事 田斉 健輔