Olympus G.Zuiko Auto-W 20mm F3.5 修理記録

Olympusさんの機種の特徴

整備の世界から、構造面でこの機種を取り扱う際、留意する必要がある部位が絞り羽調整ダイヤルです。通常のレンズの絞り羽調整ダイヤルは、レンズ鏡胴カメラ接点部位付近に組み込まれています。一方、Olympusさんの機種は、その部位が対物側先端に組込まれている構造になっています。

例えば、その個体の鏡胴内部のガラス部位表面に付着している、カビ等の付着物を除去する為に、レンズ鏡胴内部へアクセスする場合、銘柄表示板を取り外す事になるのですが、この部位は絞り羽調整ダイヤル自体を押さえている役目も兼任しています。

こういう構造を理解しない状態で、銘柄表示板を安易に外してしまうと、スプリングに押されているベアリングが飛び出してしまう事になります。このベアリングはとても小さいので、床に落ちてしまうと、まず見つける事は困難です。

今回もこの様な背景での修理ご依頼になりますが、たまたま同規格部位が在庫でございましたので、ご依頼者様による分解前の状態に復元する事ができました。今後、ご自身で整備される場合は、お電話にてお伝えいたしました事柄にもご留意して頂き、末長く大切にご所有下さい。

銘柄表示板を取り外す際

このようにガムテープで固定して下さい。個体しておくと、絞り羽調整機構がバラバラになりません。

ご依頼に至った経緯

今回はメールでお問い合わせ頂きましたので、その内容を簡潔にまとめました。

今回お預かりしました機種

整備報告

光学系付着物に関してですが、全てのレンズ表面に付着していた埃・カビ除去しました。レンズ全体としての光学的なクリアー度は復元していますが、付着していた菌糸状カビが腐食カビで、除去後の無数の腐食カビ痕が随所に残ります。それでも、今回お預かり致しました個体の中では、処置後の復元状態が一番良いと感じます。

腐食痕は一種の傷ですので修理の範疇では今回の処置が限界でございます。レンズが綺麗になった分この様な現象が目立ちます。この点ご了承下さい。次に、紛失してしまったベアリングに関してですが、当協会に同規格部位がございましたので、代用させて頂きました。ご自身での分解前の状態に復元しております。

お電話にてもお伝え致しましたが、今後ご所有の他の機種も整備する場合、先ずはその機種の基本的な構造を理解なさった上で、具体的な処置を施す様にして下さい。わからない点は、お気軽にお問い合わせ下さい。ご自身で所有しているレンズは、自分で整備できる様になるのが理想的です。その為にお役に立てることがございましたら、こちらも本望でございます。今回お預かり致しましたレンズは、外観・駆動系共に状態の良いレンズですので、今後も大切にご所有下さい。

参考写真

納品に関しまして

※お願い・・・銀行お振込み頂きましたら、その旨メールにてお知らせ頂けますと幸いでございます。確認後速やかに納品させて頂きます。

発送方法	クロネコ発払い便
送り状NO	別途メールにて報告
配送状況	お荷物追跡システム

ご決済に関しまして

整備費	13,000円（税込）
クロネコさん送料	栃木（一律）＝930円（税込）
決済方法	銀行振り込み
合計	13,930円
お願い	ご決済後メールにてお知らせ下さい

ご縁ございましたら、今後もお付き合い・ご指導宜しくお願い申し上げます。
（一社）日本レンズ協会 代表理事 田斉 健輔