Carl Zeiss Planar 50mm F1.4 修理報告

Carl Zeiss Planar 50mm F1.4というレンズは修理経験上5個体に一つの割合で合成レンズ貼り合わせ面が白濁している現象が進行しています。その割合の理由は判明していませんが、2枚のレンズを貼り合わせる際に使用されている天然樹脂素材流動性粘着自体の劣化の進行によるものと推測しています。理論的には、この粘着物を一度剥がして、接点面をクリーニングし、再度貼り合わせる処置でクリアー度は復元しますが、再組立時光軸がずれたり、無限遠に支障が出るケースがあるので、当協会では現在はこの処置は施していません。今回はどうしても修理して欲しいというリクエストにお応えし、整備後の光学系数値は保障できない事を承諾して頂いた上での修理報告になります。

レンズ検査ご依頼までの流れ（経緯）

今回のご依頼はメールにて受け付けましたので、その内容を簡潔にまとめました。

昔新品で購入したレンズが白く曇ってきました。お電話にてその修理は難しい事は承知していますが、整備後どんな状態になっても責任は追及しませんので、貼り合わせ面のクリ－ニングを何とかお願い致します。再組立時の支障は承知の上での依頼ですので、何とか引き受けて下さい。現状では撮影に支障があり使えないので、例えどんな仕上がりになっても決して文句は言いません。できればクリアーになる事を祈っています。

機種名	Carl Zeiss Planar 50mm F1.4
シリアルNO	8091579
付属品	前後キャップ
課題（所有者さん見解）	昔新品で購入したレンズが白く曇ってきました

修理報告

鏡胴内部全てのレンズ表面に埃・カビの付着が確認できますが、同時に合成レンズ張り合わせ面にて天然樹脂素材流動性粘着物自体の劣化も進行しています。これが原因で白濁現象が進行しています。この課題を解決する為には、遜色のない同規格部位交換が最善なのですが、現在当協会には在庫がございません。残された方法は合成レンズを剥がして、貼り合わせ面をクリーニングし再度貼り合わせる処置しかないのですが、この処置だと光学系数値に狂いが出る危惧を孕んでいます。今回は特別にその事を前提として整備しました。合成レンズ以外のカビの除去処置も施しましたので、レンズ全体としての光学的なクリアー度は相当に復元しています。処置後の検査でも光学系数値に問題はないと判断致しますが、納品後の実写に際しての厳密な精度までは保障できません事、改めてご了承お願い致します。レンズ整備工程で何枚か写真を撮りましたので併せてご参照下さい。また、再度貼り合わせる際にBondicという接着剤を使用しています。

納品に関しまして

※お願い・・・銀行お振込み頂きましたら、その旨メールにてお知らせ頂けますと幸いでございます。確認後速やかに納品させて頂きます。

ご決済に関しまして

ご縁ございましたら、今後もお付き合い・ご指導宜しくお願い申し上げます。
（一社）日本レンズ協会 代表理事 田斉 健輔