Carl Zeiss Planar 85mm F1.4 修理記録

Planarという機種は、レンズ鏡胴内部に組み込まれている、硝子部位の構成の型を意味し、初代 Planarはダブルガウス型の開発・発展過程で開発されました。ドイツ語＝Plan=プラーンが名称の由来で、日本語では平坦を意味します。整備をしていると解る事なのですが、PlanarにしろDistagonにしろ、その名称により硝子部位の構成の型は類似していて、銘柄を見るとおよその鏡胴内部の光学的な硝子部位の配置が連想できます。また、このシリーズに限らず、Planarタイプも様々な種類の機種が存在します。過去の修理記録台帳を紐解きますと、焦点距離・解放F値・マウント形状の違いで、色々な機種に接してきました。参考例と致しまして、Yashica/Contaxマウント＝略してY/Cものをいくつか挙げておきます。

Carl Zeiss Planar 85mm F1.4の人気度

私は写真家ではないので、毎月修理依頼を受ける本数＝頻度によってしか判断できませんが、今回お預かり致しました機種は、 Carl Zeiss Planar 50mm F1.4と並ぶ頻度でご依頼若しくはお問い合わせを頂く事から、その人気度・所有度が推測できます。特に、Carl Zeiss Planar 85mm F1.4は、中望遠でありながら、それ程長さがある訳でもなく、レンズ鏡胴内部に組み込まれている硝子部位の表面積は、見た目では解放F値＝1.2にも引けを取らない大口径のレンズです。

Carl Zeiss Planar 85mm F1.4の傾向

修理依頼の内容として、代表的なのがカビ等光学系付着物除去なのですが、駆動系の問題として、絞り羽が絞り羽ユニットBOXに収納された状態で固着してしまって、絞り羽調整ダイヤルを回しても駆動しないという症状が挙げられます。そういう個体が散見されるのも事実です。どちらの症状も課題は解決するケースが多いのですが、F1レンズ＝対物側最先端硝子部位の厚みがあり、その固定がカップリング＝ドロッピング構造なので、この部位の取扱いには細心の注意を要します。

レンズ検査ご依頼までの流れ（経緯）

今回のご依頼はメールにて受け付けましたので、その内容を簡潔にまとめました。

今回お預かり致しました機種

整備報告

検査致しました。確かに、レンズ外周に白濁現象が進行しています。この主な原因は鏡胴内部に組み込まれている、レンズ表面に付着している雲状カビです。同時に、該当レンズ表面外周に菌糸状カビも付着しています。その他、全てのレンズ表面に付着していました埃・カビ除去しました。レンズ全体としての光学的なクリアー度は復元しています。

白濁現象も解消できています。只、付着していた点カビと菌糸状カビが腐食カビで、除去後の無数の腐食痕が随所に薄っすらとですが残ります。菌糸状カビの除去後の腐食痕はレンズ外周に、点カビの除去後の腐食痕はレンズ表面全体に残ります。この点、ご了承お願い致します。フォーカス調整機構は問題ありません。調整ダイヤルのトルク感は丁度いいと診断します。絞り羽ユニット機構の支障に関しましては、フォーカス調整機構螺旋状部から流れ落ちてきた、油分を含む汚れの付着が主な原因でしたので、除去処置にて課題は解決しております。

只、こういう傾向にある個体は、時の経過で再度似た様な症状になってしまう事があります。そうならない為にも、お電話にてもお伝え致しましたが、なるべく豆にレンズを使ってあげて下さい。又、保管時のレンズの向きにもご配慮お願い致します。今回の整備で、外観共に大変状態の良いレンズに復元したと思います。今まで同様大切にご所有下さい。ご友人さんにも宜しくお伝え下さい。整備工程にて撮影した、いくつかの写真UPしておきますのでご参照下さい。

納品に関しまして

※お願い・・・銀行お振込み頂きましたら、その旨メールにてお知らせ頂けますと幸いでございます。確認後速やかに納品させて頂きます。

発送方法	クロネコ着払い便
送り状NO	別途メールにて報告
配送状況	お荷物追跡システム

ご決済に関しまして

整備費	18,000円（税込）
送料	ご依頼者様ご負担
決済方法	銀行振り込み
合計	18,000円
お願い	ご決済後メールにてお知らせ下さい

ご縁ございましたら、今後もお付き合い・ご指導宜しくお願い申し上げます。
（一社）日本レンズ協会 代表理事 田斉 健輔