Carl Zeiss Planar 85mm F1.4 修理報告

単焦点レンズは鏡胴内部に二つの駆動系機構が組み込まれています。一つは絞り羽ユニット機構で、もう一つはフォーカス調整機構になります。この二つが狭い鏡胴内部で隣接されている為に、フォーカス調整機構螺旋状部のグリスが、絞り羽ユニット機構に流れ落ちてきてしまう事があります。この様なレンズは、いずれ絞り羽が解放状態のまま固着して、調整ダイヤルを回しても、解放F値が固定された状態になってしまいます。

レンズ検査ご依頼までの流れ（経緯）

今回のご依頼はメールにて受け付けましたので、その内容を簡潔にまとめました。

先日急に絞りと羽根が連動せずに開放したままになってしまいました。それと、レンズがカビだらけで気持ち悪いので綺麗にしてもらいたくてメールしました。お願いします。ぶつけた訳けでもないのに、どうして絞り羽が出てこなくなってしまったのでしょうか？教えて下さい。治りますでしょうか？予算はあまりないのですが、大体いくらくらいかかりますか？あと、修理にかかる日数も知りたいです。色々宜しくお願いします。

機種名	Carl Zeiss Planar 85mm F1.4
シリアルNO	7011652
付属品	前後キャップ、アダプター、フィルター
課題（所有者さん見解）	先日急に絞りと羽根が連動せずに開放したままになってしまいました。

修理報告

先ず、絞り羽ユニット機構固着に関してですが、付着していた油分を含む汚れ除去処置施しました。その動作は復元しています。この様な症状になってしまうレンズは、今後も同じ様な症状が再発してしまう傾向があります。再び動きが緩慢になってきましたら、こちらに報告して下さい。その際は無償で整備致します。光学系付着物に関しましてはカビの付着が激しかったので除去しました。レンズ全体としての光学的なクリアー度は復元しています。只、付着していたカビが腐蝕カビで、除去後の無数の腐蝕痕が随所に残ります。又、フィルター本体一部外周にも腐蝕痕が残ります。この点ご了承下さい。外観共に状態の良い個体に復元していますので、今後も大切にご所有下さい。尚、今回の整備工程でいくつかの写真と動画を撮りましたので併せてご参照お願い致します。