Leitz社レンズの名称
Leitzの純正レンズにはそれぞれ特有の名前がついているのはご存知かと思います。エルマー(Elmar)のほかにも、ズミクロン(Summicron)・ズミルックス(Summilux)・エルマリート(Elmarit)・ヘクトール(Hektor)等々その名称のバリエーションは沢山あります。なかでも、このエルマー(Elmar)という名称は、レンズの開放値(明るさ)がF3.5もしくはF2.8のレンズに付けられたものとなります。Leitz社のレンズ名は少数の例外を除き基本的にレンズの開放値(明るさ)によって命名されました。なので、エルマー(Elmar)という名称は勿論他の焦点距離の機種にも当てはまります。
35mmフイルムカメラ用標準レンズ
Elmar 5cm F3.5は、世界初の実用35mmフィルムカメラに標準レンズとして取り付けられたレンズです。そういう経緯=歴史を振り返る時、このレンズは35mmフィルムカメラの歴史の中で、とても重要な位置付けにある事が解ります。すべての35mmフィルムカメラ用レンズの元祖でもある存在ともいえると思います。ですから、このレンズを使って撮影するという事は、まさにフィルムカメラの歴史を追体験することに他なりません。Leitz社のバルナックライカの標準レンズは当初一貫して50mm F3.5でした。最初は固定式でしたが、途中でLマウントの交換式となった歴史があります。交換レンズ自体の数値上の性能は変わりありません。バルナックライカに最初からついてくる交換レンズは、いまでいえばデジタル一眼カメラの「キットレンズ」のようなものと言えます。Leitzを最初に手にした人にとって誰もが使うレンズとして、5cm(50mm)というレンズはLeitzの標準レンズとしての位置付けでした。戦前のElmarはすでに製造から80年以上を経ています。構造上とてもしっかりとした造りになていますので、光学系付着物の定期的な整備は必要ですが、駆動系に関しては時々関連部位の汚れを除去してあげれば、今後も数世紀に渡って撮影の為の良き相棒になってくれると思います。
レンズ検査ご依頼までの流れ(経緯)
今回のご依頼はメールにて受け付けましたので、その内容を簡潔にまとめました。
レンズ内にチリ・ホコリの混入、薄曇り等があります。一番の問題は、レンズ中央付近に気泡様の物が3点あり、その中心に黒点「蛙の卵、目玉焼き」様になっている汚れ?です。写真を撮りましたので、見て頂きご意見を頂けますと幸いでございます。レンズはLeitz Elmar 5cm F3.5という相当昔の機種ですが、このレンズで撮影の技術を今後も磨いていきたいと思っています。可能な範囲で綺麗にしてもらえると助かります。宜しくお願い申し上げます。
所有者さんから頂いた写真
写真撮影が好きな方でも、レンズ鏡胴内部の硝子玉の症状を撮影するのは意外と難しいものです。少し特殊な光源を使うと解りやすい写真が実写できます。
機種名
機種名 | Leitz Elmar 5cm F3.5 |
シリアルNO | 1201898 |
付属品 | 前後キャップ |
課題(所有者さん見解) | 光学系付着物除去 |
修理報告
お電話にてもお伝え致しましたが、鏡胴内部全てのレンズ表面に付着していた埃・カビ除去致しました。カビの種類は主に点カビと雲状カビでした。除去後のレンズ全体としての光学的なクリアー度は復元しています。レンズが綺麗に復元した分、前後玉表面の擦れ傷が目立ちます。又、付着していた点カビが腐蝕カビで、除去後の腐蝕痕が残ります。この点ご了承お願い致します。駆動系、フォーカス調整機構螺旋状部洗浄及び再グリスUP処置施しました。外観共に状態の良い個体です。今まで同様大切にご所有下さい。お願い致します。整備工程にていくつかの光学的な付着物写真UPしておきますので併せてご参照下さい。
参考写真
納品に関しまして
※お願い・・・銀行お振込み頂きましたら、その旨メールにてお知らせ頂けますと幸いでございます。確認後速やかに納品させて頂きます。
発送方法 | クロネコ着払い便 |
送り状NO | 別途メールにて記載 |
配送状況 | お荷物追跡システム |
ご決済に関しまして
整備費 | 12,000円(税込) |
決済方法 | 銀行振り込み |
お願い | ご決済後メールにてお知らせ下さい |
お振込み先銀行
・みずほ銀行
・五香支店
・口座名義 一般社団法人 日本レンズ協会
・普通口座
・口座番号 1715154
ご縁ございましたら、今後もお付き合い・ご指導宜しくお願い申し上げます。
(一社)日本レンズ協会 代表理事 田斉 健輔