Leitz Elmar 5cm F3.5 修理記録

Leitzレンズには様々なモデルが存在しますが、今回お預かり致しました機種には、F2.8というモデルもあります。そんな沢山のラインナップのLeitzレンズシリーズの中でも、沈胴タイプLeitz Elmar 5cm F3.5というレンズは、Leitzの歴史の中でも、最初にバルナック型35ｍｍレンジファインダーフイルムカメラの標準レンズの位置付けで、カメラとセットで販売されていた経緯をもつ源流ともいえるレンズになります。すべての Leitzレンズの元祖、すべての35mmフィルムカメラ用交換レンズの元祖という存在です。

Leitzの純正交換レンズには、それぞれ専用の様々な名前がついています。Elmarの他にも、Summicron、Summilux、Elmarit、Hektor 等々、その銘柄表示のバリエーションは非常に豊かで、私も全てのLeitzレンズモデルは未だに手にとった経験はないと思います。今は、マウントアダプターのお蔭で、デジカメにLeitzの純正交換レンズ群をつけて撮影を楽しむ写真家の方が多いと思いますが、Leitzの純正フイルムカメラで今回お預かり致しましたレンズを当時のままの組み合わせで愛用されている方も沢山いらっしゃいます。

こんな歴史背景をもつレンズを今回お預かりする事になりましたが、 Summicron、Summiluxの様な銘柄表示に関する分類の意味に関しましては、過去にLeitzレンズをお預かりした際に、少し詳しく解説しておりますので、ご興味がおありの方は、そちらの修理記録台帳を読んで頂けますと参考になると思います。

この機種の構造上の特徴

Leitz Elmar 5cm F3.5というレンズは、とても素朴な構造になっていて、ちょっとした治具さえ工夫すれば、ご自宅でどなたでも整備できると思います。フォーカス調整機構も、絞り羽ユニット機構も大変丈夫ですので、定期的に整備して欲しい個所は、光学系硝子部位の付着物だけです。ガラス部位の枚数も少なく、混乱する事はないと思います。只、その部位がとても小さく、コンタクトレンズくらいの大きさなので、取り外した際の向きと順番はしっかりと記録しておいて下さい。

レンズ検査ご依頼までの流れ（経緯）

今回のご依頼はメールにて受け付けましたので、その内容を簡潔にまとめました。

今回お預かり致しました機種

整備報告

レンズ鏡胴内部全てのガラス部位表面に付着していた埃・カビ除去しました。白濁の主な原因は雲状カビの付着でした。レンズ全体としての光学的なクリアー度はかなり復元していますが、各ガラス玉表面の無数の擦れ傷が目立ちます。ガラス部位をを交換する事なく、修理の範疇での復元は今回の処置が限界でございます。80年くらい前のレンズの復元状態と致しましては、上々と判断致します。このレンズの特徴なのですが、絞り羽ユニット機構を挟んで、リヤ側と対物側に接する二つのガラス部位表面にカビが付着しやすい傾向にあります。これで、靄がかかった様な状態は解決できましたので、納品後実写して頂きましてご確認下さい。動系・外観共にとても状態の良いレンズです。今まで同様今後も大切にご所有下さい。

ガラス部位表面に付着したカビの写真一例＝処置前

納品に関しまして

※お願い・・・銀行お振込み頂きましたら、その旨メールにてお知らせ頂けますと幸いでございます。確認後速やかに納品させて頂きます。

発送方法	クロネコ発払い便
送り状NO	別途メールにて報告
配送状況	お荷物追跡システム

ご決済に関しまして

整備費	18,000円（税込）
クロネコさん送料	山形県（一律）＝930円（税込）
決済方法	銀行振り込み
合計	18,930円
お願い	ご決済後メールにてお知らせ下さい

ご縁ございましたら、今後もお付き合い・ご指導宜しくお願い申し上げます。
（一社）日本レンズ協会 代表理事 田斉 健輔