Minolta MC W.Rokkor-NL 21mm F2.8 修理記録

Minolta MC W.Rokkor-NL 21mm F2.8

コニカとの合併を経て、2005年にKONICA MINOLTAはカメラ事業から撤退してしまいましたが、今でも数々の名レンズが、写真家の間で愛されています。日本を代表するカメラメーカーといえると思います。Rokkorといえば、その独特なコーティング色から緑のレンズとしても知られています。

Minoltaとは=実る田に由来するブランド名で、有名な故事成語を意識して名付けられたブランド名称だといわれています。戦前から戦後にかけては、千代田光学というブランド名が用いられていましたので、1960年代の Minoltaへの改称以前の製品には、Chiyokoという刻印が施されていました。この様なモデルのレンズを愛用されている写真家の方は今でも大勢いらっしゃいます。

私も昔、初心者でも出来る!カメラレンズ修理の教科書Vol.012: 『Chiyoko S-Rokkor 50mm F2.8 C 』篇 Kindle版を出版した経緯がありますが、修理の範疇で定期的な整備を施して、状態を維持し、後世まで受け継がれていく事を願っております。カメラ本体の歴史を調べますと、1960年代のフィルム一眼レフカメラの代表機種のひとつとして、Minolta SRT-101が挙げられます。

1960年代といえば、一眼レフフイルムカメラが一般的に世の中にどんどん普及していく時代でした。1959年のNikon Fはプロ仕様カメラとして、1964年のPentax SPはアマチュアの為のカメラとして世にデビューしています。そんな時代風景の中、Minoltaが満を持して生み出したのがMinolta SR-T101というカメラで、TTL露出計を内蔵した世界初となるフイルムカメラでした。TTL露出計とは、撮影時にレンズを通った光の明るさを計測して、適正な明るさ=適正露出を表示する機構のことで、デジカメの現代も、ほとんどすべてのカメラに内蔵されている構造です。今回は。この様な背景をもつレンズをお預かり致しました。

レンズ検査ご依頼までの流れ(経緯)

今回のご依頼はメールにて受け付けましたので、その内容を簡潔にまとめました。

ご依頼者様から頂いたメール

過去にコンタックスのレンズ修理でお世話になりました。今回も曇ったレンズをクリアにできないか見ていただきたくて連絡させていただきました。対象物は、minolta MC W.ROKKOR-NL F2.8 21mmです。よろしいでしょうか。ご連絡いただきまして、ありがとうございます。予算の件ですが、できましたら、2万円以内でお願いしたいです。よろしくお願いいたします。確かに電気に透かすと透明でいい状態なんですが、写真に写すと霧がかかったようになる、といいますか、そんな感じがします。見ていただいて問題がないようでしたらいいのですが、、、よろしくお願いいたします。

今回お預かり致しました機種

Minolta MC W.Rokkor-NL 21mm F2.8 付属品
Minolta MC W.Rokkor-NL 21mm F2.8 付属品
機種名Minolta MC W.Rokkor-NL 21mm F2.8 付属品
シリアルNO1506716
付属品前後キャップ、フイルター
課題(所有者さん見解) 曇ったレンズをクリアにできないか
ご希望予算20,000円以内

整備報告

レンズ鏡胴内部に組み込まれている全てのガラス部位表面に付着していた埃・カビ除去処置施しました。レンズ全体としての光学的なクリアー度は復元しています。只、処置前の状態が想定よりも、良かったので、今回の処置が「電気に透かすと透明でいい状態なんですが、写真に写すと霧がかかったようになる。」という症状にどこまで貢献できたかに関しましては、撮影した絵の感覚的な判断になると思いますので、こちらでは厳密には判断できません。この点ご了承お願い申し上げます。

光学系付着物=処置前写真

Minolta MC W.Rokkor-NL 21mm F2.8 点カビと埃
Minolta MC W.Rokkor-NL 21mm F2.8 点カビと埃
Minolta MC W.Rokkor-NL 21mm F2.8 点カビと埃
Minolta MC W.Rokkor-NL 21mm F2.8 点カビと埃

又、同梱して頂きましたお手紙によると、絞り羽調整ダイヤルのトルクが固いとのご指摘でしたが、関連伝達部位の汚れを除去致しましたが、処置前後に於いて明らかな状態変化は感じられません。この点もご了承お願い申し上げます。外観・フォーカス調整機構共にとても状態の良いレンズです。今まで同様、今後も大切にご所有下さい。

納品に関しまして

※お願い・・・銀行お振込み頂きましたら、その旨メールにてお知らせ頂けますと幸いでございます。確認後速やかに納品させて頂きます。

発送方法クロネコ発払い便
送り状NO別途メールにて報告
配送状況お荷物追跡システム

ご決済に関しまして

整備費12,000円(税込)
クロネコさん送料神奈川県(一律)=930円(税込)
決済方法銀行振り込み
合計12,930円
お願いご決済後メールにてお知らせ下さい
お振込み先銀行

・みずほ銀行
・五香支店
・口座名義 一般社団法人 日本レンズ協会
・普通口座
・口座番号 1715154

山田 太郎の様にご記入下さい

納品後頂きましたメール

お礼のメール
お礼のメール

ご縁ございましたら、今後もお付き合い・ご指導宜しくお願い申し上げます。
(一社)日本レンズ協会 代表理事 田斉 健輔

kensuke tasai と申します。 光学機器の修理を主たる業務としております。 関連コンテンツも並行して配信させて頂いておりますので、リクエストございましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。